2023年12月号記事

幸福実現党 党首

釈量子の志士奮迅

第129回

釈党首

幸福実現党 党首

釈 量子

(しゃく・りょうこ) 1969年、東京都生まれ。國學院大學文学部史学科卒。大手企業勤務を経て、幸福の科学に入局。本誌編集部、常務理事などを歴任。2013年7月から現職。
釈量子のブログはこちらでご覧になれます。
https://shaku-ryoko.net/

中東調停に求められる、自助による繁栄

パレスチナ自治区のガザ地区を実効支配・統治するイスラム組織ハマスが10月7日、イスラエルに大規模な奇襲攻撃を行いました。市民を虐殺し、拉致して人間の盾にするハマスに対してネタニヤフ首相は8日、宣戦布告を行い、激しい戦闘が続いています(10月18日時点)。

停戦の見通しがつかない中、日本が調停役を担うべきだとする声も国内で上がっており、岸田文雄首相は17日、ガザ地区と境界を接するエジプトのシシ大統領と電話会談を行いました。

リーダー国たらんという志は大切です。ただその前提には、世界標準の宗教理解が不可欠なことに加え、それを超えたより包括的な宗教観が求められます。

中核にある宗教戦争

日本ではイスラエル・パレスチナの対立を単純な「領土問題」に捉える向きもありますが、問題の中核には、長きにわたる「宗教戦争」があります(*1)。

象徴的なのは、ハマスの軍事部門ムハンマド・デイフ司令官が、今回の攻撃を「アル・アクサの大洪水」と呼んだことです。

この度のハマスによる攻撃に先立ちイスラエルは2021年5月、エルサレムに建つイスラム礼拝所のアル・アクサ・モスクを襲撃し、参拝者をモスクから引きずり出すなどして暴行しました。この襲撃はハマスとの戦闘に発展し、ガザで248人、イスラエル側で13人の死亡者を出しています。今回ハマスが「アル・アクサの大洪水」と称したのには、報復の意が込められています。

前述のモスクが位置する神殿の丘はイスラム・ユダヤ双方にとって重要な聖地。ハマスが攻撃に際しモスクの事件を強調したことから、一歩も譲らない姿勢が読み取れ、礼拝所の攻撃など冒涜行為の激化が大いに懸念されます。世界人口40億人を巻き込む文明の衝突が、抜き差しならない段階に来ています。

加えて日本人が見過ごしがちなのが、「なぜパレスチナの地が重要なのか」という点です。

世界では常識とされますが、今から約3千年前、エジプトで奴隷にされたイスラエルの民をモーセが率いて「出エジプト」をし、神(ヤハウェ)に示された乳と蜜の流れる約束の地・カナンを目指して流浪します(*2)。このカナンが現在のパレスチナです。

しかし「約束の地」にはすでに先住民が暮らしていました。モーセの後を引き継いだヨシュアの下、イスラエルの民はカナンを制圧。国を建て繁栄するも、イエスの磔から40年後に亡国に至ります。世界各地に散り散りとなり、1900年もの間、国がない状態が続きました。

一方で7世紀に入るとムハンマドがイスラム教をおこし、パレスチナを含むアラビア半島に教えが広まります。それから1千年以上が経った1948年、第二次大戦で600万人ものユダヤ人が虐殺されたことも受け、米英仏などの支援を得て現在のイスラエルが建国されたのです(*3)。

これに対し追い出されたイスラム教徒が反発。領土問題もさることながら、目的のためなら手段を問わない武力革命や、貧しさの平等を肯定する思想も影響し、ユダヤ・キリスト教圏への攻撃を繰り返してきました(*4)。

互いに兄弟宗教でありながら、教義や慣習の違いなどから現在まで対立が続いています。

(*1)今回の戦闘をめぐっては、米バイデン政権の外交的失策が誘発した側面も検証されるべき。
(*2)旧約聖書には、残虐で嫉妬深いヤハウェと、慈悲と憐みの神エローヒムが出てくる。これは同一神の異なる側面だと考えられてきたが、幸福の科学の霊査で、別の神であることが明らかにされている。
(*3)イギリスが戦争支援を求めユダヤ・アラブ双方に矛盾する約束をした問題もある。
(*4)大川隆法著『繁栄への決断』、『メシアの法』(いずれも幸福の科学出版)など。

自助による繁栄が主なる神の願い

大川隆法・幸福実現党総裁は、こうした争いを終わらせる宗教思想を説き続けてきました。

2021年12月、全世界に向けた法話「地球を包む愛」で、この地上において完全な体制はないものの、「どちらの方向がよりベターであるか」は考え続けねばならないとし、イスラム教原理主義を念頭に西洋化・民主化への改革を求めました。

宗教を信じていても、国を滅ぼす人たちはいるので、やはり、一人ひとりの値打ちが高まる方向に舵を取らなければいけないということです」「今こそ一人ひとりが仕事をつくって、国の発展していく道を選び取ってください。(中略)本当の神は、みなさま方の自力によって豊かさを導く道を説いています!

駐日パレスチナ大使のワリード・アリ・シアム氏はかつて、日本が原爆投下を受けながらゲリラ戦ではなく再建の道を選んだ歴史を踏まえ、「(日本は)占領軍だったアメリカに経済的に迫る地位にまで上り詰めた。降伏するわけではありませんが、パレスチナは日本に学ぶべきだと思います」と語りました(*5)。

イスラエル側にも、選民主義的な傾向への反省が求められます。イスラエルの入植が進むに伴いパレスチナ領地は縮小し続け、20年時点でパレスチナ人が自治する土地は15%のみとされます。今回の戦いでも、イスラエル国防相はハマスを「動物のような人間(human animals)」「野獣(beasts)」と表現しています。

双方の宗教に流れる地球神の御心を汲み取りつつ、その心から離れた部分にイノベーションをかけていく世界的思想が、今求められています。

(*5)「ザ・リバティ」2014年12月号