原子力規制委員会の仕事が遅いため、原子力発電所の再稼働が実現している地域と、実現していない地域の間で、電気料金の格差が拡大している問題について、7月末発刊の本誌9月号「やっぱり変だよ! 原子力規制委員会 ─「電気料金格差」を生み出す「怪しい仕事」─」で紹介した。

その後、大手電力10社すべてが、10月の家庭向け電気料金を値上げする見通しであり、大手都市ガス4社のガス料金もすべて値上がりすることが分かった(8月19日付本欄 :「10月から電気・ガス料金が値上がりで「補助金延長」の議論 バラマキよりも「原発再稼働」という根本的な解決が急務」)。

原発の再稼働を進めれば、さまざまな問題が解決されていくはずだが、今回は、長期間にわたって原発を止めていることで起きている他の問題について見ていきたい。

増えていく「運転経験ゼロ」の運転員

国内の電力10社で、運転監視やトラブルに対応する原発運転員の2割超が、2011年の福島第一原発事故後の入社で、「運転経験ゼロ」であることが報じられた(2023年3月4日付産経ニュース)。

記事では、茨城県の日本原電東海第二が46.9%と最も高く、島根県の中国電力島根の38.3%がそれに続くが、廃炉作業中を除く全基が再稼働した九州電力と四国電力は未経験者がゼロだという。

さらに、原発が止まってから10年以上が経つ、新潟県の柏崎刈羽原発では、運転員の3割超が「運転経験ゼロ」である(2023年4月27日付読売オンライン)。

記事では、「現場の見回りでは、計器だけに頼らず、音や振動、配管の温度から異常を感じ取る。中央制御室で操作を行う『主機操作員』に就くためには、5年以上の訓練や見回りが必要となる」と伝え、ベテラン運転員の声は「『操作一つにしても、五感を使う。経験がすごく必要になる』と危機感を募らせる」と語っている。

電力各社は再稼働の準備と新卒の採用を並行し、中央制御室を模したシミュレーターなどで訓練を重ねている。だが、規制委の審査が長期化しているため、新人が実際の稼働の現場を経験できず、培ってきたノウハウを継承しづらくなっている現状は大きな問題だ。

運転員以外にも、メーカーなど原発関連の企業から多くの人材が離れたり、外国企業に高額な報酬や高級マンションなどを条件に引き抜かれたりしている。

もちろん、こうしたことは原発関連の企業だけの問題ではない。電気の供給という意味において、国民生活そのものが危機にさらされている。

震災の4日後、大川総裁は原発の重要性を語っていた

2011年3月11日、東日本大震災に伴う津波の影響で、福島第一原発の電源が水をかぶり、事故を起こし、その後、日本中の原発が止められていった。

しかし、日本中が放射能への不安に包まれる中、大川隆法・幸福の科学総裁は、震災から4日後の同月15日、「震災復興への道」と題して説法を行い、こう指摘した。

原発に替わるエネルギー源が出てこないうちは、単なる恐怖症によって原発を簡単に手放してはなりません。原発を廃止して石油に頼ったエネルギー経営をすると、国防上も非常に危険なことになりますし、産油国に経済を翻弄されるようになってしまいます。産油国によって、いつでもインフレを起こされる状態になれば、国としてお手上げ状態、ギブアップ状態になります」(『震災復興への道』所収)

この時に、日本の政治家、マスコミ、国民が、正しく判断し、原発を動かし続けていれば、現在のような「電力の逼迫」「電気料金の高騰」「電気料金への補助金・助成金(使われるのは税金)」という問題は起きていないだろう。

震災から12年以上が経つが、日本はいまだに「原子力恐怖症」のままだ。

再稼働を阻む原子力規制委員会の問題は大きいが、規制委がいくら独立性の高い「三条委員会」だとしても、公正取引委員会などと同じ行政組織であることに変わりはない。

審査をしながら、周辺施設を工事しながらでも原発は動かせる。

岸田首相は、規制委を言い訳にせずに、自らの責任において行動し、全ての原発の再稼働を目指すべきである。

【関連書籍】

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