幸福実現党の沖縄県本部(代表・下地玲子氏)は20日、玉城デニー・沖縄県知事宛てに、「県民の『生命・安全・財産』を損なう地域外交を改め、国との連携強化を求める要望書」を提出した。

中国の習近平・国家主席が7月6日、対台湾作戦を担う東部戦区の将兵に「戦争に備えよ」などと指示したことが明らかになるなど、台湾有事への懸念が日に日に増している。この問題に沖縄も無関係ではいられない。

沖縄県は中国にとっての重要な防衛ラインである第一列島線上にある。万が一にも中国が台湾侵攻を開始すれば、沖縄県民も大きな影響を受ける。また、沖縄などの在日米軍の動向が、台湾有事の戦局を大きく左右することも指摘されている。

こうした中、習近平氏が6月、北京の資料館を訪問し、「(福建省の)福州で勤務していた際、琉球との交流の根源が深いと知った」と述べ、「異例の『琉球』言及」として波紋を呼んでいる。これは沖縄の帰属を問題化させ、日本を揺さぶる狙いがあるとされる。

しかしこれに対し玉城知事は、「今後の交流進展を希望するという意見だった」と評した。さらに7月に訪中した際には、中国共産党序列2位の李強首相と会談。コロナ禍で停止した沖縄・中国間の空路の直行便回復などを求める一方で、尖閣問題については棚上げし、中国公船の領海侵入にも言及しなかった。

玉城知事は、3月の訪米の際にも、外交を通じた緊張の緩和や沖縄県民の基地負担軽減を訴えている。国内においても、沖縄に対する反撃能力を有するミサイル配備に反対するほか、日米訓練等での民間施設の使用に不快感を示し、民間港湾や空港の緊急時以外の米軍の利用に自粛を要請した。

台湾情勢に対しても玉城知事は、人民日報系の環球時報のインタビュー(7月3日付)に対し「日米両政府は平和外交と対話を通じて緊張を緩和させるべきだ」と述べている。

まさに、中国政府の所望に沿うような行為を重ねているように見える。

こうした動きに対して要望書では、「暴力革命によって誕生した中華人民共和国は、その体制の維持・発展のために暴力を用いることを厭うことは何らありません。(中略)全体主義国家から、自由や民主、信仰などの普遍的な価値観を守ることが台湾問題の本質であり、これを無視したとき、次に脅かされるのは、台湾に隣接する沖縄の人々です。戦後最大の緊急事態が、私たちの沖縄に迫っている状況なのです」と警鐘を鳴らす。

その上で、下記の通り要望している。

  • (1)台湾訪問等で、中国共産党の侵略行為を助長させかねない地域外交を戒めること。

  • (2)地域外交においては、経済的利益の優先によって、県民の安全保障環境を脅かすことがないよう努めること。

  • (3)中国と地域外交を行う場合、中国共産党に対し、中国公船の領海侵入などの行為に対し、毅然として抗議すること。

  • (4)長距離ミサイルの配備や米軍の民間施設利用の反対など、全体主義国家である中国を利する行為を慎み、国および米国と適切な協力関係を構築すること。

  • (5)国民保護法に基づき、台湾有事を想定した具体的な避難計画を早急に策定し、それに必要なシェルターなどのインフラや輸送力とその防護力、必要物資等を明らかにすると同時に、その準備を着実に進めること。

【関連サイト】

幸福実現党公式サイト

https://www.hr-party.jp/

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