幸福実現党は、夏の参院選に全国比例区1人、選挙区11人を擁立する。同党の釈量子(しゃく・りょうこ)党首が7日、東京・赤坂の党本部で記者会見を行い、夏の参院選に全国比例代表で立候補することを表明した。

釈党首は1969年東京都小平市生まれ。大手企業勤務を経て宗教法人幸福の科学に入局し、広報局、『ザ・リバティ』編集部、学生局長、青年局長、常務理事などを歴任。幸福実現党青年局長、女性局長を経て、2013年に党首に就任した。

会見では、幸福実現党の参院選公約について発表した。

国家存続の危機に、「精神的主柱」を立てる

釈党首は、全世界で感染者が5億人を超えた中国発・新型コロナウィルスに続いて、核戦争・世界大戦の危機にまで向かっており、日本が国家存続の危機にあるとの認識を示した。一方、他党の公約は現金で票を買うようなバラマキ政策に終始していて、核大国に囲まれているのに憲法改正一つできずにいる現状への危惧を示した。

その上で、「この日本に『精神的主柱』が無ければこの国を守れない時点に来た」として、党創立者の大川隆法総裁が立党時に示した「幸福実現党の目指すもの」を紹介。「精神的主柱とは、『神仏を信じる心』『政治の上位概念にある精神』、これを日本の国の背骨として取り戻さなければならないと考えている」と語った。

(参考:「幸福実現党の目指すもの」幸福実現党公式サイト)

幸福実現党は立党から13年を迎え、全国で46人の地方議員が活動している。しかしいまだに「政教分離の規定に反するのではないか」という誤解を受けることもあるとして、「宗教立国は、世界の国々の主流で、どこの国でも宗教が国の背骨」であると語った。また、ソ連や中国、北朝鮮などの「共産主義国家」が、無神論・唯物論で暴力革命を肯定してきたため、共産主義による犠牲者が1億人を超えたと言われることを挙げた。

釈党首は幸福実現党について「今まで、『保守の右側の政党』というイメージがあったかもしれませんが、そうではありません。『自由・民主・信仰』が政治の基本原則であることを訴えている、『価値観の戦い』のための政党です。古代ユダヤでは、神の声を聴き、政治の指導をする存在をメシアといいますが、まさに幸福実現党は、『メシアの教え』に基づいてできた政党であるとご理解いただければありがたい」と語った。

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選挙公約については、「平和のために正義を実現」「神仏が願われる繁栄の実現」という2つの理念のもと、7つの政策を掲げている。

以下、選挙公約として語られた内容を紹介する。

〈1.中国の悪事から日本と世界を守る〉

中露接近を阻止する外交を展開

日本の安全保障において、中国が一番の脅威である。中国人を敵視しているわけではなく、共産主義・全体主義の政治体制が問題。日米同盟を基軸としつつ、ロシアとの友好の道を残しておくことが大切だと考えている。

中国は尖閣諸島周辺の領海侵犯を繰り返し、台湾を狙っているが、日本が米欧に追随し、ロシアへの制裁を強化したため、北海道周辺への軍事的圧力が強まっている。さらに北朝鮮は一昨日(5日)、少なくとも3カ所から、8発のミサイルを発射した。イージス艦やPAC3の対処能力を超えるようになっており、極超音速ミサイルなら迎撃は困難という状況になってきている。

このままでは、日本は中国、ロシア、北朝鮮の3つの核保有国と三正面で対峙することを強いられる。さらに、パキスタン、イランがつながると、世界戦争の危機が目前にやってくる。

ロシアによるウクライナ東部地方の占領の目的は、ウクライナ国内の過激派に攻撃されていたロシア系ウクライナ人の保護にあった。これを理解せず、「ロシア憎し」で世界中の武器をウクライナに集めても、戦争を長引かせることになる。

日米同盟を堅持しながらもロシアとの友好の道を残し、中露接近を阻止する外交努力を展開すべき。まずは、ウクライナ戦争を世界大戦にさせないために、停戦の仲介する方向で日本は努力すべき。

憲法9条改正で、自分の国は自分で守る

戦力の不保持と交戦権の否認を定めた憲法9条の抜本的な改正によって自衛隊を「国防軍」と定める。また、隣国の核の脅しに屈しないために、「核なき国」ではなく「核を落とされない国」を目指して、正当防衛の範囲内で核装備を行う。核の抑止力を高めるとともに、サイバー戦への備えや電磁バリアの構築などに投資が必要。

〈2.無駄な役人や役所を今すぐ減量〉
〈3.バラマキやめて「勤勉革命」〉

バラマキは国を衰退させる

日本経済の長期停滞、コロナ禍に加え、ロシア―ウクライナ戦争による資源や食糧価格の高騰が追い打ちをかけている。政府は経済対策として給付金や補助金を支給し、他党も含めて、バラマキ政策、所得再配分を強化しているが、行き過ぎたバラマキ政策に対しては、幸福実現党に「バラマキはやめてくれ」「よく言った」という声を多数いただいている。

「緊縮財政か、積極財政か」が議論されているが、私たちは、大きな政府をスリム化して税収の範囲内で国家運営する「健全財政」の考え方が必要と考えている。バラマキにつながる補助金や給付金は原則撤廃。安全保障強化や経済成長につながらない行政機関はスリム化する。

健全財政こそ国家存続の基礎であり、国民の自助努力の繁栄が、共産主義、社会主義、福祉国家の理想を超えるべく道を開くべきだと考える。

「減税」によって勤勉革命を起こす

国民のやる気を引き出すシンプルで安い税金を目指す。法人税の大幅減税と、将来的に所得税10%台のフラットタックスを導入する。

私たちが大切にしている「勤勉の精神」「自助の精神」は、弱者切り捨ての考え方ではない。「勤勉」「自助」によって誰もが自らの人生を拓ける。これを否定するのは、むしろ各自の可能性を信じない冷たい政治ではないか。

神を信じている人は、人の見ていないところで悪いことをせず、努力することができる。その時に人間は自尊心を感じ、自分に神仏の心の一片が宿っていることを確認できる。働くことが魅力的になり、努力が報われる国にすることが大切だと考えている。

〈4.先進国を没落させるグレタ教にNO〉

脱炭素政策を止め自由と財産を守る

温室効果ガスの排出量について「2030年度に2013年度比で46%削減」という目標は、日本の産業を木っ端みじんに破壊するのに等しく、国益にかなっていない。そもそも、CO2の濃度だけで気温が変化するという説には、多くの科学者が反論している。

電力危機を招く再エネ偏重政策を見直す

脱炭素は電力危機にもつながる。最近、電力の逼迫で大規模停電の危険が高まっているため、政府は大企業を中心に「電力使用制限」を発令し、電気を使いすぎた企業に罰則を科すことまで検討しはじめた。原発を即刻再稼働させ、火力発電、特にエネルギーの輸入に関して地政学的影響を受けにくい石炭火力発電も維持すべき。

〈5.監視強化の流れに歯止めを〉

個人情報の一元管理は「全体主義」への道

デジタル庁が中心になって進めている、マイナンバーを活用した国民情報の一元管理の流れに見直しをかけたい。政府が個人の財産や健康情報を一元管理することは、国民のプライバシーや自由を守るという観点から反対で、全体主義化には警戒すべき。

デジタル化より「人の温もり」を取り戻すべき

教育にもデジタル化の流れが押し寄せている。すでにタブレットの目的外使用が問題となっている。学校の先生が学習意欲を高め、勉強することが道を拓くと教えるのは、生身の人間が熱い情熱をもって語るしかないと考えている。今、デジタル全盛だが、逆に、人と人を結びつける愛、人の温もりにこそ付加価値があるのが未来社会であるべき。

〈6.コロナ戦争に打ち勝つ〉

中国の責任追及こそ最大の感染症対策

私たち幸福実現党は、新型コロナは中国の生物兵器であると指摘し続けてきた。「原因」を探り、徹底して中国の責任を追及し続けなければ、次の感染をもたらすような生物兵器の拡散に歯止めがかからないと考えている。

感染症全体主義から国民を守る

原因究明は簡単なことではないため、今後も感染の波が来る可能性はあるが、感染対策を名目として政府や自治体の権限を拡大していく「感染症全体主義」から国民の自由を守る。現状では、コロナの感染症法上の分類を今すぐ5類相当とすべきだと考える。また、ワクチンも「事実上の強制」につながらないよう、原則有料にすることを訴えている。

〈7.LGBTQの安易な権利拡大に抑止を〉

LGBTQの権利拡大は大勢の人の権利を侵害する

「心は女性だ」という男性が、スポーツの世界で賞を総なめしたり、女性用トイレを使ったりする権利を認めていいのか。海外では女性刑務所で強姦事件も起きた。小さな女の子を持つ父兄などから、心配だという声も多数いただいている。

与えられた性で生きることの意味

LGBTQの方々はもちろん、すべての人間が神仏の子としての本質を持つかけがえのない存在だと考えているので、差別をするつもりはない。しかし、ここ数年、公立学校でも男子が制服でスカートを着用できるようになったり、「父と母」という呼び方をなくし「親1、親2」という呼び方にしたりするという流れすらある。ここは慎重であるべき。

性転換手術をして戸籍の性別を変えても、若くして自殺するような人もいる。人間は魂修行のため、何度もこの世とあの世を転生輪廻している。長い転生の過程で、男性も女性も経験する中で、男性の記憶が強く残っている場合は、女性の肉体に宿ると違和感を覚える。苦しみもあるが、それが「人生の一冊の問題集」の意味だと考える。

宗教的な人生観に基づいて、もう一度、政策を見つめる

会見の最後に釈党首は、以下のように決意を語った。

「このように、私たち幸福実現党は、他党では言えないような宗教的な考え方、宗教的な人生観に基づいて、もう一度、政策を見つめてみる必要があるのではないですか、と訴えています。まさに、地球がどのような星であるべきかという価値観の中で、全宇宙的全世界的仏法真理に基づいて戦っていきたい。そうした信仰心をもとに、私たちは、今回の選挙に、『千万人といえども、我往かん』という気持ちで、真摯に戦ってまいりたいと思っております」

質疑応答では、「台湾防衛」や「勤勉革命」についての質問が寄せられた。

【関連書籍】

いずれも大川隆法著 幸福の科学出版

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