大手検索サービスでの中国国営メディアの存在感を指摘した報告書「Winning the web: How Beijing exploits search results to shape views of Xinjiang and COVID-19」。

《ニュース》

グーグルなど大手検索サービスで「新疆」や「新型コロナウィルス」について検索すると、中国政府の主張を反映するコンテンツが上位に表示されるようになっていることを、米シンクタンクが報告書で指摘しました。米ウォール・ストリート・ジャーナル紙が報じるなど、波紋を呼んでいます。

《詳細》

報告書は、ワシントンにあるシンクタンクのブルッキングス研究所とアライアンス・フォー・セキュアリング・デモクラシー(ASD)によるもの。

両シンクタンクの調査では、中国政府が主要な検索エンジンを通して世論に及ぼしている影響を評価するため、「新疆」と「コロナ」に関連する12の用語について、「ユーチューブ検索」「グーグルニュース」「ビング(マイクロソフト社のサービス)」「ビングニュース」「ユーチューブ」で120日間、検索し続けました。

その結果、どのサービスにおいても、中国政府系メディアや、その記事を転載したコンテンツなど、同国の主張を示すコンテンツが高い確率で上位に表示されるようになっていることが判明しました。

例えば「新疆」という用語で検索すると、中国国営メディアの記事が、グーグルとビングのニュース検索では88%の日数で、ユーチューブ検索では98%の日数で、トップ10内に入りました。

国営メディアと提携を結び、その記事を定期的に再掲するニュースサイトなども含めれば、出現回数は10%近く増加するといいます。

こうした状況を懸念し、報告書では「コンテンツの検索順位がどのように決まっているかに関する情報を公開し、ユーザーに知らせること」などを提言しています。

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