戦後70年を受け、英世論調査会社「YouGov」が、7月18日~20日にかけて行った調査で、アメリカ人の10人に6人が、「原爆の発明は悪かった」と答え、多くの人々が「日本に投下したことは間違っていた」という認識であることを発表した。
この調査結果の他にも、回答した18~29歳の若者のうち、45%が日本に原爆を投下したことについて、「間違った判断」(反対)とし、「原爆投下は正しい」(賛成)と答えた41%を超えた。
一方、45歳~56歳では、55%が原爆投下を支持し、21%が反対。65歳以上も、65%が賛成、15%が反対である。若い層ほど、原爆投下に否定的な考えを持つことが判明したという。
アメリカの国論が変化
原爆投下から長い年月が経ったこともあり、アメリカでは原爆投下を肯定してきた国論が徐々に変わり始めている。
オバマ大統領が、原爆の使用について日本に謝罪を行う意向であったことが、2011年の内部告発サイト「ウィキリークス」の情報で明らかになったり、今年6月には、アメリカン大学美術館で「原爆の図」の展覧会が行われた。ワシントンで展示されるのは初めてだ。
さらに6月から7月にかけて、幸福の科学の会員有志らが運営する「エル・カンターレ財団」が、被爆地・広島の写真や映像などを展示する「原爆展」をハワイで開催。会場には、原爆を落とした米爆撃機「エノラ・ゲイ」の操縦士の友人が来場し、「彼が良心の呵責に苦しんでいたのを知っている」と語り、涙を見せる姿もあった。
原爆投下は誤り
アメリカの意識が変わる反面、日本では、同国に反省を求める機運は高まっていない。そこには、政府などが日米同盟を最優先にする判断があるのだろう。だが、当時の日本軍の戦力や、非戦闘員を巻き込んだことを考えれば、アメリカが原爆投下をするべきではなかったのは明らかだ。その点、日本が原爆について卑屈になる必要はない。
国際秩序が乱れ、中国が台頭する中、日本とアメリカが真の友人になるならば、お互いの良い部分も悪い部分も認め合うべきである。その姿勢こそが、日米同盟をさらに発展させるはずだ。(山本慧)
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