太平洋戦争中に前身の会社が運営していた鉱山で、旧日本軍の捕虜となった米兵に"強制労働"をさせたとして、三菱マテリアルは19日、米カリフォルニア州ロサンゼルスで、元捕虜や遺族らに公式に謝罪した。2010年には、日本政府が太平洋戦争時の全ての米元捕虜に公式に謝罪しているが、企業として謝罪したのは三菱マテリアルが初めてだ。21日付各紙が報じた。

木村光常務執行役員は元捕虜らと面会し、「当時の労働環境は大変厳しいものがあり、戦争捕虜の方々には大変なご苦労を強いた」と述べた。元米捕虜を代表するジェームズ・マーフィー氏(94)は「戦後70年間求め続けてきたことがようやく実現した。同じように労働を強いたほかの企業の謝罪につながることを期待したい」と応じた。

また、木村常務はメディアから中韓への謝罪について問われ、「コメントは控えたい」とのみ述べた。これを受け、中国メディアからは、「日中戦争時の強制連行について謝罪がない」と非難され、韓国メディアからも、「戦時中に勤労挺身隊として動員されたことに対する賠償がまだだ」と不満の声が挙がっている。

日本兵の米捕虜に対する扱いは人道的だった

自虐史観に基づく歴史教育に影響され、「日本軍は米捕虜を虐待した」と思い込む日本国民も多い。また、2014年末にアンジェリーナ・ジョリー氏が監督を務め、日本軍が連合国軍の捕虜に残虐な行為や拷問を行ったことをテーマにした映画『アンブロークン』が全米で上映されたことは記憶に新しい。

しかし、文化の違いにより「虐待」と誤解された事例はあっても、日本軍が米捕虜を一方的に痛めつけたことはない。例えば、日本軍は米兵にも日本人並みの食事を提供していたが、大きな体格の米兵には不十分だったのかもしれない。終戦後に痩せ細った米兵の姿を見た米マスコミが「日本は過酷な労働を科して虐待した」と騒ぎ立てた。

また、米兵は母国では車で移動するため、「バターン死の行進」で日本人と同様に歩かせると「虐待」と認識された。しかし実際は、捕虜収容所の日本人の多くは良識ある人物であり、連合国軍の捕虜に対して食事だけでなく衣服や医薬品も支給するなど、捕虜の扱いには最大限の配慮をしていた。

目先の利益に流されずに「正しい歴史」を発信することが必要

先の大戦において「日本は悪であり、戦勝国は善であった」という「戦勝国史観」が根強く残っている。しかし戦時中の事実を再検証すると、日本は米国に謝罪する必要はないことが分かる。

今回の謝罪を仲介したユダヤ系の人権団体は、かねてより日本の戦争犯罪を指摘し、安倍首相の靖国参拝にも否定的な見方をしている。米国でビジネスをするにあたり、このような反日ロビー活動を行う勢力からの圧力もあったのかもしれないが、日本を代表する三菱グループの企業が、安易に日本の戦争犯罪を認め謝罪をしたことは残念だ。

大企業は、世界に与える影響も大きく、公器としての責任があるため、目先の利益で安易な妥協をするべきではない。まずは日本人が自らの自虐史観を払拭し、自国の誇りを取り戻すことが必要だ。(真)

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2015年3月号記事 捕虜を虐待したのか? - 日本軍は世界一人道的だった - 「永遠の0」も描かなかった真実 Part2

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2014年10月号記事 日本軍による組織的な捕虜虐待は真実か? 12月公開の映画「UNBROKEN」 - The Liberty Opinion 4

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