12月25日より、全米で映画「アンブロークン(原題)」が公開された。この映画は、先の大戦において、日本軍が連合国軍の捕虜に残虐な行為や拷問を行ったことがメインテーマで、ハリウッド女優のアンジェリーナ・ジョリー氏が監督を務めたことでも話題となっている。だが、同名の原作には、日本の軍人が生きたまま捕虜の肉を食べるという、およそ史実とは思えないような記述も多く、大半が作り話ではないかとも言われている。

本誌編集部に、アメリカでこの映画を観た人たちからの感想が届いた。その一部を紹介する。

○20代女性・日本人留学生

映画の内容はすべて本当の話とされているが、疑わしい場面が多い。たとえば、主人公が海で45日間漂流して生き抜いたことになっていて、サメを手づかみして生のまま食べるシーンがある。それはいくらなんでも実話とは思えない。

○20代歳女性・アメリカ人

想像していたほどひどい映画ではなかった。映画で描かれている日本軍の暴行は、アメリカや他の国も同じようなことをやっているのではないかと感じた。

○20代男性・アメリカ人

映画としての出来が非常に悪く、面白くなかった。映画館に来ている人は、政治的な意図を持っているようには見えず、娯楽の一環として観にきている人が多いように思えたが、日本のことを知らないアメリカ人が観たら、当時の日本は野蛮な民族だと思うかもしれない。

○20代女性・アメリカ在住の日本人

映画全体があまりにもわざとらしくて大げさなシーンが多く、登場人物の言動が「アンリアリスティック(非現実的)」に描かれていた。映画を観ていたアメリカ人も笑っていた。原作にある人肉を食べるシーンは出てこなかったが、出てきたとしても「アンリアリスティックだ」と感じる人が多かったのではないか。

○10代女性・ブラジル人

映画では日本が悪く描かれていて、これを観ただけだと日本が悪いことをしているように思えるが、映画は大げさに描かれることが多いので、映画の中で描かれていた暴行がそのまま本当であるとは思えない。特に主人公が海で漂流するシーンは「アンリアリスティック」だと感じた。

○20代女性・日本人留学生

映画の中では暴力シーンが多く、日本で上映するとしたら、年齢制限がかかる可能性が高い。絶対に日本で上映するべきではない。そもそも、描写が大げさなものが多くウソっぽいが、何も抗議しなければこれが正しいことになってしまう。日本人はもっと抗議すべきではないか。

概して「大げさ」で「アンリアリスティック(非現実的)」という感想が多く集まった。フィクションならともかく「ノンフィクション」であるなら、非現実的だという感想が多く出てくるのは失敗作と言ってもよい。

日本軍が連合国軍の捕虜を一方的に痛めつけたというのは真実ではない。中には行き過ぎた行為もあっただろうが、捕虜となったイギリス海軍将校ルイス・ブッシュ氏の著書には、捕虜収容所の日本人スタッフの多くは良識ある人物であったと記されている。

また、神奈川・大船収容所の尋問責任者だった実松譲大佐は、「恐怖と敵意に駆られた者は真実を語らないため、本物の情報を得るには捕虜の生命の安全を保障する必要があった」としている。

やはり、真実より強いものはない。とはいえ、この映画を真実であるかのように煽る勢力も出てくるだろう。「ウソはいつか明らかになる」というのは国際社会では通用しない。日本人は明確に抗議し、反論していくべきだ。(佳)

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2014年10月号記事 日本軍による組織的な捕虜虐待は真実か? 12月公開の映画「UNBROKEN」 - The Liberty Opinion 4

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2014年7月5日付本欄 日本に人食いの習慣!? 映画「アンブロークン」主人公のモデルが逝去

http://the-liberty.com/article.php?item_id=8101