旧日本軍の元米国人捕虜であるルイス・ザンペリーニ氏が、肺炎のために2日死去した。ザンペリーニ氏は、今年12月に全米公開予定で、女優のアンジェリーナ・ジョリー氏が監督を務める映画「アンブロークン」(原題、日本語題未定)の主人公。ザンペリーニ氏は第二次世界大戦で出征した際に旧日本軍の捕虜になり、新潟県の直江津捕虜収容所で終戦を迎えた。陸上選手でもあるザンペリーニ氏は、1998年の長野五輪開催時に聖火ランナーとして来日し、同収容所跡地に作られた平和記念公園を訪れていた。
映画の原作は、ローラ・ヘレンブランド氏のノンフィクション小説『Unbroken』。ザンペリーニ氏が捕虜としての過酷な試練を乗り越えるストーリーが中心で、2010年の発売後、ニューヨーク・タイムズ紙のベストセラーリストで、14週連続でトップになった。ジョリー氏はこの小説を読んで感動し、映画化を決めたという。また、国連難民高等弁務官事務所の親善大使でもあるジョリー氏は、外交評議会のメンバーとして「大規模残虐行為と大量虐殺廃止のための介入」などの報告にも資金提供している。
しかし、この小説には反日感情をあおる表現が散見され、問題になっている。例えば「捕虜は日本の人食いの風習で生きたまま食べられた」という表現があるが、歴史的に日本に人食いの風習はなく、小説に描かれている光景も、事実かどうか極めて疑わしい。
また、原爆投下後の広島の中心部を汽車で通過した捕虜が、「何もなかった。美しかった」と話し、後に「目的は手段を正当化すると信じた」と話す場面もある。「日本軍が捕虜虐待という非人道的な行為をしていたから、アメリカが日本に原爆を投下したのは正当な行為だった」と言わんばかりの内容だ。
しかし、民間人を数十万人単位で虐殺した東京大空襲や広島・長崎への原爆投下は許されるものではない。原爆投下を正当化する理由として、東京裁判でも日本軍の南京大虐殺が挙げられているが、こちらも真実であったか疑わしい。現地にいた外国人が日本軍の虐殺現場を目撃していないことや、日本が南京を占領して1カ月後、南京の人口は20万人から25万人に増えているなど、30万人以上もの虐殺が行われたとは到底考えられない証拠が多数出てきている。南京大虐殺はなかったと考えるほうが自然なのだ。
映画「アンブロークン」が原作と同様の内容を描くならば、アメリカ国内はおろか世界中で日本に対する誤ったイメージが広がりかねない。来年、第二次世界大戦の終戦70周年を迎えるにあたり、日本は既にこうした方面から情報戦を仕掛けられている。そのことを踏まえ、日本は国家として主張すべきことを主張し、間違った見解については誤解を解き、説得していかねばならない。(晴)
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