インドネシア政府が南シナ海に軍事基地の建設を検討していることを、ジャカルタ・ポスト紙が報じている。基地の場所は決まっていないが、南シナ海に面した北カリマンタン、西カリマンタン、そして南シナ海に点在する群島などが検討されている。

インドネシアは過去、東カリマンタン地域でマレーシアと領土問題で対立してきた。しかし、新基地の候補地には、東カリマンタンは含まれていない。ジャカルタ・ポスト紙やインドネシア政府は名指しこそしていないが、今回の決定が中国を念頭においたものであることは明らかだ。

ポスト紙によると、インドネシアのリャミザルド・リアクドゥ国防相は、「地域各国が近未来に紛争状態に陥る可能性が高く、基地の建設は急務だ」との見解を示したという。

インドネシアは、南シナ海の領土問題で中国と対立状態にはない。しかし、中国は過去にインドネシア領・ナトゥナ諸島を中国領だと主張したことがある。そのためか、インドネシア政府はこのナトゥナ諸島も南シナ海の新基地の候補地として挙げている。

また、インドネシアは、その増大する国防費を見ても分かるように、南シナ海での緊張をはっきりと認識している。去る4月、インドネシア議会は、現在約80億ドル(約1兆円)の国防費を、2020年までに150億ドル(約1.8兆円)に増額することを発表した。これは、インドネシアの国防費をGDPの0.8%から1.5%に引き上げるということだ。

中国が侵略的な野心を持っていることが明らかになり、アジアの軍備競争が本格化している。インドネシアの新基地計画や国防費の増額は、政府の「国民の生命や財産を守る」という責任に照らし合わせれば、当然の決断だ。

日本は戦後、国防費をGDPの1%に抑えて、経済的発展に力を注いできた。しかし、東アジアの安全保障環境が悪化する中、いままでのやり方で国を守りきるのは難しい。日本も、国防費の増大や、未来の紛争に適応した国防技術の開発を急ぐべきである。(中)

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