衆院の平和安全法制特別委員会は13日、有識者の意見を聞く中央公聴会を開いた。公聴会では、安保法制について有識者5人が意見を述べ、野党推薦の3人は違憲・廃案にすべきと主張。与党推薦の2人は法案に賛成した。

「憲法学者だけが学者ではない」

与党推薦の2人は、外交評論家の岡本行夫氏と、国際政治学者で同志社大学学長の村田晃嗣氏。岡本氏は軍事的な覇権拡大を狙う中国や「イスラム国」の日本人人質事件などを例に上げ、日本を取り巻く国際情勢が厳しさを増していることを指摘。

「北朝鮮の核ミサイル開発や中国の膨張主義などもあるが、日本にとって生命線である中東方面からのシーレーンをめぐる情勢を考えただけでも、その変化はただちに分かる」「膨大な海域で日本人の生命と船舶を守ることは日本単独では無理」と、集団的自衛権の必要性を強調した。

村田氏は「今般の法案はもちろん、憲法上の問題を含んでいるが、同時に安全保障上の問題である」「安全保障の専門家からなる学会で、同じ意見を問われれば、多くの安全保障の専門家が今回の法案に、かなり肯定的な回答をするのではなかろうか。学者は憲法学者だけではない」と安全保障の観点から法案を支持する立場を明らかにした。

国際情勢が混沌とする中で、この識者2人の指摘は、極めて常識的なものだ。ただもっと踏み込んで言えば、今回の安保法制をめぐる議論で、国民が見落としてはいけない点がある。それは、憲法に基づいて国の政治を動かしていこうとする「立憲主義」を極端に押し通すと、国益を損ねたり、為政者によって国民が奴隷化される危険性があるという点だ。

立憲主義や法治主義は万能ではない

大川隆法・幸福の科学総裁は7日、さいたまスーパーアリーナ(さいたま市)で行われた大講演会『人類史の大転換』(※)の中で、立憲主義を振りかざす日本の風潮に、こう警鐘を鳴らした。

「ミャンマーの軍事政権は『外国人と結婚した人、外国人との間に子供がある人、軍人としてのキャリアがない人は大統領になれない』ということを新しい憲法に書き込んでいます。立憲主義でいくと、アウンサンスーチー氏は大統領になれないのです。憲法ではこういうこともできるのです。ある特定の人が大統領になれないように盛り込むこともできるのです」

この指摘を踏まえて、日本の安保法制の議論を考えると、本質的な問題は「違憲か否か」ではなく、国民の生命・財産・安全を守るためにはどのような手を打つべきか、という点であることが分かる。

憲法が国民・国家の存続を脅かすものであれば、改正すべきだ。ただ、手続き上、時間がないのであれば、その間は新しい法律をつくってでも国民・国家を守る必要がある。「憲法と国民、どちらを守るべきか?」という議論は、小学生でも分かるだろう。

「憲法守って国滅ぶ」では本末転倒だ。国民を守るためにも、安保法案を速やかに成立させ、長期的には真に国民を守る憲法を創らなければならない。(冨)

※講演内容は、全国の幸福の科学の支部・精舎・拠点においてDVDで拝聴できる(支部・精舎の連絡先は、幸福の科学サービスセンター03-5793-1727(火~金10-20時、土・日10-18時)、または同グループサイトの支部・精舎アクセス http://map.happy-science.jp/ まで)。

【関連書籍】

幸福の科学出版 『左翼憲法学者の「平和」の論理診断』 大川隆法著

https://www.irhpress.co.jp/products/detail.php?product_id=1489

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2015年6月5日付本欄 集団的自衛権=違憲? 「国民主権」をも縛る「立憲主義」の愚

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