世界経済フォーラムが毎年出版するGlobal Competitiveness Report(国際競争力レポート)がこのほど公開された。

同報告書は「インフラ」「経済状況」「医療や教育」「イノベーション」など、計12項目を基に各国をランク付けしている。それぞれの項目は、さらに細分化された項目に分かれている。

競争力ランキングの対象となった144カ国中、トップ10は以下の通りだ。

  • 1. スイス
  • 2. シンガポール
  • 3. アメリカ
  • 4. フィンランド
  • 5. ドイツ
  • 6. 日本
  • 7. 香港
  • 8. オランダ
  • 9. イギリス
  • 10. スウェーデン

日本の国際競争力はやはり上位に食い込んでいる。

では、日本がさらに競争力を高めるためには、何が必要なのだろうか。例えば、12項目の一つである「イノベーション」の内訳を見てみると、

  • 「企業によるイノベーション」 日本7位
  • 「科学研究機構の充実度」       日本7位
  • 「企業が研究開発に使う費用」 日本2位
  • 「科学者や技術者の人数」       日本3位
  • 「特許の数」                          日本2位

など、成績は上々だ。しかし、「大学と企業の連携」(16位)と「政府による購入はイノベーションにつながっているか」(22位)を見ると、途端に順位が落ちる。

たしかに、日本で大学・企業・政府の連携が足りないことは、以前から言われてきたことだ。例えば国防分野において、大学が企業や政府と共に研究を進めるということはほとんど無い。

また、「イノベーション」以外の項目でも、「企業家のためのベンチャー資金はどれほどあるか」は24位、「税金が勤労意欲を削いでいる」は61位、「海外から才能ある人間を受け入れている」は79位、「関税が国内における輸入品の競争力の障害となっている」にいたっては116位だ。

総合的な競争力やイノベーション能力が高く、「顧客に対する企業の対応」(1位)、「消費者がモノを買うときの洗練度」(1位)などでもトップレベルの日本が、20年以上も経済的に停滞してきた背景には、やはり「大きな政府」の悪影響がある。

日本は、減税や、TPP参加による関税の撤廃など、金融、教育、貿易、税金、民間企業など、多方面における規制緩和を必要としている。これらをやり遂げれば、日本が持つ潜在力を開放し、さらなる発展を享受することができるだろう。(中)

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