自民党の若手議員が立ち上げた勉強会「文化芸術懇話会」の初会合で、この会合に出席した議員から、「マスコミに広告を出している企業に働きかけ、マスコミ規制をすべき」などの意見が出たことが議論を呼んでいる。朝日新聞(26日付)などが報じた。
記事によれば、25日の会合で議員から、「マスコミを懲らしめるには、広告料収入がなくなるのが一番。経団連に働きかけてほしい」「悪影響を与えている番組を発表し、そのスポンサーを列挙すればいい」などの意見が出た。
また、講師として招かれた作家の百田尚樹(ひゃくた・なおき)氏も質疑応答で、普天間基地問題などをめぐって政府を追及する沖縄の地元2紙に触れ、「沖縄の2つの新聞は潰さないといけない。あってはいけないことだが、沖縄のどこかの島が中国に取られれば、目を覚ますはずだ」と語ったという。
マスコミは権力を持たないのか?
朝日新聞や沖縄タイムスなどは、先の会合について「言論弾圧」とのトーンで批判的に報じた。与党内でも懸念が高まっており、石破茂地方創生担当相も記者会見で、「われわれは政権の側におり、権力を持っている。言論の弾圧と受け取られかねないようなことには、心していかなければならない」と語り、マスコミ規制論に釘を刺した。
確かに、憲法が保障する「表現の自由」を考えれば、マスコミに政治的圧力をかけるのは極論であるように見受けられる。
だが、「政権は権力を持っており、マスコミは持っていない」とも読み取れる石破氏の見方は正しいのか。
大臣の首を飛ばし、黙殺権を行使するマスコミ
例えば、数十万部の週刊誌が、政治家の小さなスキャンダルや事件を報じれば、それだけで大臣の首が飛ぶ。これにより、内閣崩壊につながった事例は数多い。実際、立法・行政・司法の三権に並んで、マスコミは「第四の権力」と言われている。
また、マスコミは世論をミスリードして、国益を損ねる報道をしたとしても、経営陣や編集局長などが責任をとるようになっている訳ではない。さらに、自社の論調や経営方針に不都合な情報であれば報道しない、という黙殺権を行使し、国民の知る権利に奉仕していないという問題もある。
このようにマスコミは、まるで"現代の神"に成り代わったように、世論を牽引し、強大な権力を行使している。マスコミ界について、自浄作用や外部のチェック機能をどう働かせるかについては議論を深めるべきだ。(山本慧)
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