2015年5月号記事
10年先の自分を創る「情報選択」
人生は、日々の判断の積み重ね。その判断に大きな影響を与える、日々の「情報選択」は重要だ。仕事や生活、日本や世界をより良くするためのヒントについて考えた。
(編集部 山下格史、中原一隆、冨野勝寛)
スマートフォンなどの普及で、私たちはいつでも、どこでも多くの情報を得られるとともに、情報の発信もできるようになった。インターネット上には、海外の動画などもあふれ、アクセス可能な情報は無限にある。
その反面、氾濫する情報の中には、役に立たないものや間違ったものも多い。
日々、どのような情報を選び、それをどう認識し、仕事や生活に役立てるか。その積み重ねが、今までと違う自分を創る。つまり、日々の「情報選択」が、将来の自分を創るのだ。
また、組織においても「情報選択」は、その組織の盛衰を決める。未来を開くような的確な情報選択は、先見力につながっている。
大川隆法・幸福の科学グループ創始者兼総裁は、立宗から約30年、国内外の政治経済などのさまざまな分野に「指針」を示してきた。それらの提言に先見性があったことは、これまでの実績を見ても分かる(34ページ参照)。その大川総裁が2月、大阪で行った法話「先見力の磨き方」で、先見力の本質についてこう語った。
「特に先見力を出しているわけではありません。単なる宗教的な『正見』です。曇りのない心で、世界の姿を映して見ているだけなのです」
「正見」とは、仏教の教えの一つで、物事を原因・結果の連鎖で見たり、先入観を排したり、真理の目で自分や他人、世界を正しく見たりすることを指す。つまり、「正見」ができれば、物事の本質や善悪を見極め、正しい判断を重ねられるということだ。
それを1年、2年と続けていったとき、今の自分とはまったく違う自分になる。10年先の自分を創るための「情報選択」について考えた。
Part1
情報を正しく見る方法
「情報選択」で大事なのが、知り得た情報を正しく見ることだ。3人の識者インタビューとともに3つの方法を紹介する。
(1)原因・結果の連鎖で見る
私が犯した間違いは、情熱より利益を優先させたこと。よい物を作ることよりも、利益を求める会社を作ってしまった」
米アップル社の創業者スティーブ・ジョブズは、1980年代半ばに、自分が作った会社からクビにされたときのことを、2011年のインタビューでこう振り返った。利益のみを追求し、同じようなパソコンを作り続けた結果、他社に追いつかれ、売り上げが停滞したのだ。
97年、彼はアップル社に戻って、顧客が「欲しい」と思うような、まったく新しいデザインの商品を作り始めた。その後、同社の業績は回復。当時たった4ドル(注1)だったアップル株は、2014年には600ドルを超えた。顧客のニーズに合わせた商品を作ることで、会社を立て直すことができたのだ。
このエピソードから分かることは、 物事には原因があって、結果があるということ。先見性を磨く第一歩は、「原因・結果」の連鎖で世の中を捉えることだ。
情報を正しく見る方法
10年先の「設計図」を引く
小宮一慶氏、日下公人氏、渡部昇一氏インタビュー