ロシアのプーチン大統領は16日、モスクワ郊外で開かれた軍事フォーラムで講演し、今年中に40基以上の大陸間弾道ミサイル(ICBM)を新たに配備する計画を明らかにした。さらに、ミサイル攻撃から防衛するための新型レーザー施設の試験運用や設置準備も開始すると述べた。

これは、アメリカがロシアと国境を接する北大西洋条約機構(NATO)諸国に戦車や歩兵戦闘車、重火器を配備するという計画に対抗するためと考えられる。この計画はニューヨークタイムズ紙が13日、地位の高い情報筋の話として報じた。

アントノフ国務次官は同フォーラムで、「NATO加盟国が、我々を軍拡競争に駆り立てているように感じる」と述べた。

また、プーチン大統領は欧州連合(EU)加盟国の首脳と相次いで会談し、EUの切り崩しを図っている。プーチン大統領は今月10日、先進7か国(G7)の中で最も親露的なイタリアを訪問し、レンツィ首相と会談。対露経済制裁の早期解除を求めた。また16日には、フィンランドのニーニスト大統領と会談。18日にはギリシャのチプラス首相がロシアを訪問予定だ。

今月25日からのEU首脳会議で、EUは対露制裁の延長を決定すると見られる。だが、イタリアやギリシャなど経済の低迷が深刻な国は、ロシアへの農産物の輸入制限などの対露制裁を解除したいのが本音だ。

欧米諸国がロシアとの対立を未だに深めている理由は、冷戦時代の記憶が残っていることと、「最大の脅威は中国」との認識が欧米諸国の間で薄いためだろう。もちろんロシアに問題がないわけではないが、現在の世界情勢下での最も大きな脅威は、ロシアでなく中国だ。

中国には、アメリカから覇権を奪い、軍事的・経済的に世界一になるという野心がある。それが危険である理由は、中国は政府が共産主義・全体主義であり、信教の自由や言論の自由、政治参加の自由といった権利が国民に与えられておらず、虐殺などの人権弾圧も行われているためだ。中国は、経済的な自由があっても、民主主義国ではないことを認識する必要がある。

世界各国、特にアメリカは、中国の覇権拡張を阻むことを第一優先に考え、ロシアへの制裁を一旦解除し、ロシアを取り込んだ中国包囲網の形成に尽力すべきだ。(泉)

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