イスラエルがこのほど、放射性物質が入ったダーティー・ボム「汚い爆弾」のテストを行ったことを、イスラエルのハーレッツ紙が報じている。

「汚い爆弾」は核兵器と違い、核爆発を起こすわけではない。この爆弾は、内部の核物質を拡散させることを目的としている。市街の中心などで「汚い爆弾」を爆発させ、周囲を核汚染してしまうのだ。以前から欧米は、テロリストが核爆弾の代わりに、比較的安上がりな「汚い爆弾」を使用したテロ行為に及ぶ可能性に懸念を示してきた。

イスラエルが砂漠で行ったテストは、「汚い爆弾」による攻撃があった場合、どの程度の被害が出るかを検討するためだ。

もっとも大きな被害は「精神的なもの」

テストの結果、爆発の中心地では高濃度の放射線が観測されたが、風などによって運ばれた放射性物質は人体に大した被害をもたらさないとのことだ。

また、デパートなど屋内の空調システムに放射性物質をばら撒いた場合も、ほとんどの物質が空調のフィルターに絡まってしまうため、そのような攻撃方法は効果がないとの結論に達した。

「汚い爆弾」によるもっとも大きな被害は、精神的なものであることが、今回のテストで分かったと言えるだろう。

日本の福島原発問題でも同じようなことが言える。マスコミの風評被害が「放射能」の恐怖を煽り、それに迎合する形で、政府が避難指示などを誤って、この問題を大げさにした。しかし、実際に福島原発の放射能で亡くなった人間は一人もいない。

政府やマスコミは原発の恩恵とリスクを正しく説明すべき

イスラエルがこのほど行ったテストのように、先進国では非常事態を想定して、事前にテストや実験をする。それは、いざという時の対応を決めるだけでなく、何が危険で、何が危険ではないのかという理解を深め、市民にいらぬ不安や恐怖を与えないという意味でも非常に重要だ。

人は目に見えないものや、理解できないものを恐れる。だからこそ、マスコミや政府は本来、「正しい理解」を促すために、国民に説明をする責任があるはずだ。現在、原発の推進・反対で世論が割れているが、日本のエネルギー問題を鑑みれば、原発の再稼動以外に選択肢はないはずである。

原発の恩恵とリスクを正しく説明することを、政府やマスコミに求めたい。(中)

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