中国国防省と人民解放軍が2年ぶりとなる国防白書「中国の軍事戦略」を発表した。26日付各紙が報じた。その概略は以下の通り。

  • 南シナ海で中国と領有権争いをしているフィリピンやベトナムなどを念頭に「中国の領土主権と海洋権益に対する挑発行為が発生している」との認識を示し、「海上での軍事衝突に備える」方針を表明。陸上戦略重視だった軍備を海上重視に切り替え、海軍力の増強を進める方針を打ち出した。

  • 日本を名指しし、安倍政権が進める集団的自衛権行使容認など一連の安全保障政策をけん制。米国の動きについては、「アジア域外の国家が南シナ海の問題に介入し、中国に対して頻繁に近距離からの偵察行為を繰り返している」と指摘し警戒感を示した。中国政府の公式文書で仮想敵を具体的に示すことは珍しいことだという。

  • 外国との軍事協力については、ロシア軍との提携強化の必要性に言及した。

日米・中露間の「新冷戦時代」の到来?

今回の国防白書に記されていた中露両軍の連携強化について中国の軍事専門家は、「中露が連携して日米同盟と対抗する新冷戦時代の到来を意識したものだ」と指摘したという(26日付産経新聞)。

また25日付の中国共産党機関紙「環球時報」に掲載された論説は、米国が南シナ海での中国の動きを警戒し偵察機を派遣したことに対する「強い不満」を表明。「米国が中国への人工島建設停止を要求を取り下げなければ、戦争は避けられない」という指摘もあった。

アジア諸国を守るために日米は抑止力としての役割を果たせ

自明のことではあるが、「領土主権と海洋権益に対する挑発行為」を繰り返しているのは中国の方であり、米国による偵察機の派遣や人工島建設停止の要求は正当なものだ。中国政府の主張は「何か言っても、相手が言い返されなければ勝ち」と考えている節があり、極めて自国中心である。日本も主張すべきことは主張していかなければならない。

南シナ海からアジアの覇権を握りたいと目論む中国への抑止力として、アジア諸国は日本に、中国を牽制する防波堤になってほしいと願っている。また、シーレーンである南シナ海の情勢が不安定になることは、日本の存亡に関わる問題だ。日本とアジア諸国の平和と安定のために、日本政府は日米関係の強化を進めるとともに、憲法改正を進め、日本の防衛力を強化することが求められる。(真)

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