米軍の普天間基地の辺野古移設をめぐる問題で、沖縄県の翁長雄志知事は23日、ボーリング調査などの現場海域での作業を全て停止することを沖縄防衛局に指示した。1週間以内に作業を停止し報告しない場合には、「岩礁破砕許可」を取り消す考えがあることを明らかにした。

岩礁破砕許可は、辺野古の埋め立て工事に向け、仲井真弘多前知事の下、昨年8月に県が防衛局に出したものだ。 ただし、その際に「申請外の行為をし、または条件に違反した場合は、許可を取り消すことができる」という条件がついており、翁長知事は、「コンクリート製ブロックが岩礁破砕を許可した区域外に投下されたため、サンゴ礁が傷つけられた可能性が高い」などと主張し、「岩礁破砕許可」を取り消すとしている。

昨年12月に辺野古移設に反対する翁長県知事が県知事に就任して以来、政府と沖縄県の間の溝が深まっている。

県知事の判断は法治国家のあり方に反している

沖縄県は岩礁破砕許可を取り消す根拠に、県の漁業調整規則を挙げている。しかし、2013年に辺野古沿岸の埋め立ては承認されており、すでに移設問題は決着がついているはずだ。「サンゴ礁が傷つけられた可能性が高い」などという不合理な理由で、いまさら承認を蒸し返すことは許されない。

さらに言えば、沖縄県の漁業調整規則とは、水産資源保護法を根拠とし、沖縄県における水産資源の保護を目的として県知事が出したもの。

今回の翁長県知事の判断には、辺野古への移設を阻止しようという明らかな意図が感じられ、同規則の本来の目的とは異なる。本来の目的とは異なる意図で規則を用いることは、行政権の濫用に当たり、法治国家のあり方として適切なのか疑問が残る。

基地移設がスムーズに行われないと安全保障が脅かされる

そもそも日米の国同士の決定事項に、一地方自治体が口を挟む余地はない。

中国が軍事予算を5年連続で前年比2桁増を記録するなど、軍事増強を続ける中、もし基地移設がスムーズに行われないと、日米間の安全保障に亀裂が入り、危険な状態になりかねない。そうなると、もはや水産資源や自然保護の話どころではなくなる。

現実に、香港では北京政府により民主主義が脅かされる事態が発生し、学生たちのデモ活動「雨傘革命」が起こったばかりだ。これは沖縄県にとって対岸の火事ではない。基地移設反対派はこうした外国の現状を理解していないのか。

沖縄では第二次大戦で米軍の攻撃を受け、何十万の人が亡くなったこともあり、沖縄県民の中には反米感情を持つ人もいるだろう。しかし、国防体制を整えることは、沖縄県を含めた日本の国益を守る上で最も重要なことである。沖縄県に住んでいる人たちは、沖縄県民である以上に日本国民なのだ。(冨)

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