画像は、韓国のウーバー公式HPより。

韓国は、法よりも人を優先する「人治国家」の側面を強めている――

昨年12月末、韓国の検察が、正式な許可なしにタクシー事業を行っているとして、米配車サービス「Uber(ウーバー)」を運営するトラビス・カラニック最高経営責任者(CEO)を交通法違反で起訴した。有罪になれば、最高で禁錮2年の実刑判決が下る可能性がある。

この問題をめぐり、米週刊誌ニューズ・ウィークは「韓国政府が続ける 外国企業いじめ」(2月24日付日本語版)との見出し記事を掲載した。

同記事の中で、韓国・釜山大学のロバート・ケリー准教授は「ウーバーのケースで問題なのは、ソウル市長が韓国版ウーバーを創設すると言い出したことだ」と指摘。外国企業を冷遇してフェアな競争を阻害するばかりか、アイデアまでも盗もうとしているという。ケリー氏は、市長の発言について、「韓国企業を蹴散らし、市場シェアを奪う外国製品を阻止する一方で、外国製品が切り開いたチャンスを奪い取るのに等しい」と述べた。

政権発足以来、朴槿惠(パク・クネ)政権は財閥依存社会を変えるため、中小企業の育成などを念頭に入れた「経済民主化」を掲げている。しかし、企業活動への政治権力の介入を防がなければ、自由な発想をもとにした起業家や大企業が生まれることは困難だ。案の定、これまでのところ、目立った成果はない。

そればかりか、韓国国民の約94%が現在の経済状況を「不況である」と認識しているなど、景況感が大きく後退している(今年2月16日付朝鮮日報電子版)。長期不況に突入すれば、起業する意欲が削がれてしまい、企業活動はますます活力を失うだろう。

また、政治権力の中立性を疑問視する例は他にもある。韓国政府は水面下で、ウォン安へと誘導する為替介入を続けている上に、司法界でも、産経新聞の前ソウル支局長を長期にわたって拘束している。こうした行為は、海外から厳しい非難を受けており、「人治国家」と評されても仕方がない。

自国産業を保護するため自由な市場におけるフェアな競争の原則を曲げたり、他国からの非難に対して極端な対応を繰り返したりしていては、韓国は一流の大国になり得ないことに気づくべきだ。(山本慧)

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