財務省は20日、2014年の大麻押収量が74キログラムであり、2013年の6倍になったと発表した。薬物押収量全体も630キログラムと、3年連続で600キログラムを超えている。財務省は、「危険ドラッグ対策の強化で、大麻への回帰が進んだのではないか」と分析している。21日付読売新聞などが報じた。
危険ドラッグは、覚せい剤と同程度の作用や依存性があるが、既存の覚せい剤などとは成分の一部が違う。そのため取り締まる法律がなく、「合法」「脱法」と呼ばれて公然と販売されていた。
昨年8月の摘発開始から、数百件あった店舗は激減し、今年から、その原材料となる薬品も輸入禁止になる。取締りに伴って、これまでのように気軽に危険ドラッグに手を出す人は減るだろう。
しかし、閉店したはずの店舗での取引が発見されているほか、大麻など異なる薬物に変えて乱用し続けている人がいると見られる。
危険性を知っていても薬物に依存してしまう原因は、「ストレス・マネジメントの失敗」にあると指摘される。人間関係や仕事上のストレスなどに押しつぶされそうなときに薬物を使うと、短時間で現実逃避ができるためだ。
危険ドラッグには40万人もの潜在的な需要があるとされる。その背景として、「脱法」と呼ばれた気軽さがあったと、とも言われるが、根本的な理由は、日本人のストレスが増えていることだろう。
どれほど法律で禁止して取締まろうとも、薬物への需要がある限り、いたちごっこだ。根本的な解決にはならない。
本誌では以前、「薬物はなぜいけないか」(2009年12月号)において薬物の悪影響について取り上げた。交通事故を起こしやすくなるなどの目に見える異常行動だけでなく、薬物以外のことを考えられなくなり、心の自由を失うなどの精神的な影響がある。また、例えば13歳で覚せい剤を使い始めると、30歳になっても精神年齢が13歳のままであるなど精神的な成長が止まるという害もある。ある経験者は本誌の取材に対して、中毒に苦しみながらも使い続けていた時期、「覚せい剤が自分のすべてだった」とも語っていた。
薬物依存を止めるために必要なものは、依存から脱却する際の協力者を求めたり、信仰を持って究極の味方である「仏神」に愛されている自分を発見したりすることなどが挙げられる。かつて「宗教はアヘン」と言った人もいるが、信仰によって得られる正当な幸福感と、薬物によって得られる人生を破壊する恍惚感は根本的に違う。
宗教的救済で「心の病」を治すことが、薬物乱用をとどめる力になるだろう。(居)
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2014年7月13日付本欄 宗教は"アヘン"から人を救う 「脱法ハーブ」で相次ぐ交通事故
http://the-liberty.com/article.php?item_id=8127
2009年12月号記事 なぜ薬物はダメなのか