AKB48と「能」は、同じ"人物"に創られていた――。

東京ドームシティホールで25日に行われたAKB48の公演で、新潟にAKB48の姉妹ユニット、NGT48が結成されることが電撃発表された。同グループで、海外を含めると7つ目のユニットとなる。他にも、北海道の札幌や、沖縄を本拠地とする姉妹ユニット構想も噂されている。

発足10年目を迎えてもなお勢いが衰えないAKB48グループをプロデュースするのは、秋元康氏。名曲「川の流れのように」の作詞家、おニャン子クラブのプロデューサーとしても知られる。

秋元氏の「時代の仕掛け人」としての才能は、どこから来るのか。大川隆法・幸福の科学総裁は2013年7月、その秘密を探るべく秋元氏の守護霊を呼んで公開霊言を行った。

驚いたことに守護霊は、秋元氏が室町時代に「能」を大成させた世阿弥の生まれ変わりだと語った。

この両者には

「プロデューサーとしての立場」

「当たる企画を仕かける技法」

「教育者としての側面」

という、3つの共通点がある。以下、それぞれについて見ていく。

共通点1――世阿弥も「総合プロ」だった

まず、世阿弥の人生から見ていこう。彼が生きたのは室町前期、3代将軍・足利義満が建立した金閣寺に代表される北山文化の最盛期だ。当時の「芸能界」も競争が激しく、能の前身である「猿楽」が盛んに行われていた。現代の劇団にあたる「座」が大衆や権力者のひいきを得ようと躍起になり、演技の出来栄えを競い合う「立会い」も頻繁に行われていた。

そうした中で、世阿弥は「結崎座(ゆうきざ)」と呼ばれる猿楽一座の棟梁、いわば「総合プロデューサー」を務め、義満お抱えの猿楽師として芸能界をけん引した。

共通点2――総選挙の秘密は『風姿花伝』に書いてある?

また世阿弥は、自ら体系化した演劇論を『風姿花伝』としてまとめ、門外不出の理論書とした。日本史の教科書にも出てくるこの有名な書物の中には、秋元氏にも通じる「時代の仕掛け方」が記されている。

『風姿花伝』では、芸の魅力を「花」と呼んだ。ある季節にのみ咲く珍しさこそ花の魅力であり、芸の本質もそこにある。初春、いつもは何気なく通り過ぎる木に、桜の花が咲いていた――。そんな新鮮な感動を、いかに観客に与え続けられるか。

世阿弥はこう記す。

「ただ花は、見る人の心に珍しきが花なり」

「住する(とどまる)ところなきを、まづ花と知るべし」

つまり、今までの芸に安住せず、常に斬新なものを提供し続けることで、観客は感動を味わうというのだ。

世阿弥が、他の座との差別化を図って「結崎座」の人気を押し上げた理由の一つは、新たな謡曲(脚本)を何本も書き、他では見られない新しい演出を次々と繰り出したことだ。

「常に何かが新しい」ことは、リピーター獲得にもつながる。この中で次々に生み出された演出が、「能」の型を決めた。だから世阿弥は「大成者」なのだ。

この世阿弥と、秋元氏の共通点はどこか。

謡曲を量産するところは、大量の作詞を手がける秋元氏に重なるが、それだけではない。現代の秋元氏も、「花」の理論とよく似たことを語っている。「予定調和を裏切られた時、人は面白いと感じる」という言葉だ。

AKB48には、観る人の予想を裏切る演出が散りばめられている。

たとえば、CDに投票券を付け、ファン投票によってセンターで踊るメンバーを決める「総選挙」。当初は目立たないメンバーであった上に、スキャンダルを機に、福岡・博多を拠点に活動するHKT48に移籍させられた指原莉乃さんが、2013年の総選挙において、史上最高獲得票数で1位となるという逆転劇が起きた。秋元氏本人にさえ結果の予想できない仕掛けだ。

また、ライブで突然、メンバーの姉妹グループへの移籍を発表するなど、サプライズを次々と繰り出し、ファンに新しい感動を与え続ける。

その仕掛け人の秋元氏は、あるインタビューで、自分にとって最大の褒め言葉は「天才」ではなく、「意外とイイよね!」だと話している。まさに予定調和を裏切るような答えだが、その言葉は、驚きと新鮮さが生み出す「花」の真意を表しているようだ。

共通点3――「教育者」の側面も同じ

世阿弥は、一座の棟梁として教育にも力を注いだ。

『風姿花伝』には、稽古論が多く、7歳から50代までを7段階に分け、年代別に稽古のポイントを示している。「7歳では、細かな指導をせずに才能を見出す」「17、18歳では声や体つきが変わるので調子が悪い」など、まさに現代にも通じる養成法だ。

一方、秋元氏も教育・育成に力を注ぐ。AKB48のオーディションでは、一見どこにでも居そうな女の子を選ぶが、彼女たちが真のアイドルに成長する過程を、ファンとともに見守る。

さらに、秋元氏はAKB48について「芸能界で進学率トップの“女子校"をつくろう」と語っており、前田敦子さん、大島優子さんはじめ、実際に何人もの「卒業生」が今も様々なジャンルで活躍している。

秋元氏は何を「大成」させるのか?

2人の人生を俯瞰すると、世阿弥は、能楽という伝統芸能を大成させ、北山文化の一つの精華となった。

秋元氏も「ザ・ベストテン」「オールナイトフジ」などの番組構成なども手掛け、常に文化の発信源となってきた。日本独自の文化や産業を海外に売り込む「クールジャパン戦略」の推進会議メンバーや、2020東京五輪の組織委員会理事などをつとめ、世界に文化を発信する立場に立っている。

今世でも、長く残る、新たな「日本文化」を創造してくれるかもしれないといえば、秋元氏本人にとっても重荷だろうか。(光)

【関連書籍】

幸福の科学出版 『AKB48 ヒットの秘密 マーケティングの天才・秋元康に学ぶ』 大川隆法著

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