元日、日本の言論をリードする大手6紙の社説を読み比べ、新聞が私たちにいかなるヒントを与えてくれるかについて見ていきましょう。

読売新聞・社説:日本の活路を切り拓く年に 成長力強化で人口減に挑もう

少子高齢化に伴う人口減少に歯止めをかけ、国の活力低下を防がねば、日本の未来が危うい。急を要するのは成長戦略の強化。女性や高齢者が働きやすい環境を整え、非正規労働者の処遇改善を進めるべき。国民が安心して暮らせる社会を維持するには、社会保障制度の改革、子育て世代への支援も急務だ。

朝日新聞・社説:グローバル時代の歴史 「自虐」や「自尊」を超えて

フランスで、第2次大戦中にドイツに協力したビシー政権を評価する本が出た。不安を強める人たちが、正当化しがたい時代について「忘却」「誤り」に立ち戻ろうとしている。専門家は「一種の歴史修正主義。自虐史観批判は日本だけではない」と指摘。自国の歴史を相対化して、過去を振り返る挑戦をすべきだ。

日本経済新聞・社説:戦後70年の統治のかたちづくりを

世界は「Gゼロ」といわれる権力分散の時代。米国を中心にG7の連携を強め、存在感を高めていくべき。中国を排除した世界はあり得ず、引き入れていくしかない。戦後70年、戦争への反省をふまえ、平和国家としての歩みを改めて確認する必要がある。視線は過去でなく未来に向けられていなければならない。

毎日新聞・社説:戦後70年 日本と東アジア 脱・序列思考のすすめ

中韓の反日感情と日本の反中・嫌韓感情が衝突し、相互の不安といらだちをあおっている。中韓が経済発展する中、日本人の「アジアで1番」という序列意識の揺らぎこそが、不安といらだちの正体。中国・韓国と共生できる地域の未来を考えながら、日本は東アジアの和解と連帯に率先して取り組むべきだ。

産経新聞・樫山幸夫論説委員長:覚悟と決意の成熟社会に

「自立」「自助」なくして、難問の解決はできない。だが、今日の日本には欠けている。依存心、甘えは国力劣化の原因。他者依存をさかのぼれば、最終的には日本国憲法に行き着く。国の守りすら他者依存では自助の精神を育むことなど不可能。「自立と自助の国」をめざすには、憲法の改正こそが必要だ。

東京新聞・社説:戦後70年のルネサンス 年のはじめに考える

フランスの経済学者ピケティは、グローバル経済を放置すれば百年前の極端な格差社会に逆戻りすると警告し、累進課税や国際協調のグローバル資本税の導入などを提言します。資本から人間中心の社会を取り戻さなければなりません。無理な成長を求めないゼロ成長の社会です。

いかがでしょうか。「その通り!」とひざを打つもの、「なんで?」と首をかしげたくなるものもあるでしょう。

年の始まりにお伝えしたいのは、私たちが日々触れている新聞やテレビのニュースには、良くも悪くも伝える側の意図が込められているということです。つまり、伝える側のマスコミが、どのような価値観を持ち、世の中をどの方向に導こうとしているのかを見抜かなければ、私たちは間違った言論に基づいた判断を重ね、間違った言論に人生を委ねることになります。

2015年、本欄では、世の中にあふれる「情報」を、仕事などで使える「知識」へと転化させ、さらにその知識を、人生観を高め、善悪を見分けるレベルまで結晶化させた「智慧」として、読者の皆さんにお届けしていきたいと思います。(格)

【関連書籍】

幸福の科学出版 『智慧の法』 大川隆法著

http://www.irhpress.co.jp/products/detail.php?product_id=1377

【過去の元日の新聞読み比べ】

2014年1月2日付本欄 元旦の各紙チェック 読売「中国軍が有事即応型に」、産経「河野談話 日韓で『合作』」のスクープに注目!

http://the-liberty.com/article.php?item_id=7174

2013年1月1日付本欄 社説に見る各紙の国家観 「平和」「非武装」は中国・北朝鮮に言おう

http://the-liberty.com/article.php?item_id=5410