私たちの周りにある不幸は、ある意味で「妖怪のせい」かもしれない――。

映画『妖怪ウォッチ 誕生の秘密だニャン!』が、空前のヒットとなっている。公開から2日間で、邦画の興行収入で歴代1位(現行の集計方法になった2000年以降)を達成した。年末年始に、子供と一緒に見に行く人も多いだろう。

この映画は、今年、小学生を中心にブームを巻き起こしたゲーム「妖怪ウォッチ」を原作としている。タイトルの「妖怪ウォッチ」は、目に見えない妖怪を見るための道具の名前。主人公の少年が、この道具を使い、様々な妖怪と友だちになっていくストーリーとなっている。

宗教から見るとリアルな話

このシリーズに出てくる妖怪たちの性質が、幸福の科学の教えから見ると非常にリアルだ。

主人公のパートナー的妖怪「ジバニャン」は、車に轢かれた猫の地縛霊。主人公の執事を名乗る妖怪も、白い体で足がなく、幽霊の姿をしている。同シリーズの妖怪は、宗教が扱う死者の霊に相当するだろう。

また、同シリーズの妖怪たちは、人間の世界と並行して存在する、「妖怪次元」に住んでいるという。幸福の科学の教えでも、「亡くなった人は、この世の3次元の存在から、4次元の存在に移行する。2つの世界は同時に存在するが、3次元の存在が、4次元の存在を認識することはできない」と説かれている。

霊が人にとりついて不幸を起こす

また、同シリーズの妖怪たちは、人間にとりついて悪さをすることもある。

アニメには、こんなシーンがある。主人公の両親が言い争っていたが、妖怪ウォッチを使って見てみると、両親に「ドンヨリーヌ」という妖怪がとりつき、騒ぎを煽っていることが分かった――。

幸福の科学の教えにも、同じような考え方がある。

人間が怒りや悲しみ、不満、被害妄想に囚われて、家庭不和などの争いを起こす背景には、同じような心のまま亡くなった人間や、動物の霊が、人間にとりついていることがある。

いわゆる自殺の"名所"にも、亡くなった人の霊がその場に"留まって"いる。死後も意識があることが理解できない自殺者の霊は、「自分は自殺に失敗した」と思い込み、自殺志願者に無意識にとりついて、"一緒に"自殺し直そうとする。

人間が心や行動をコントロールできずに生じる様々な不幸には、こうした霊の影響がある。「妖怪ウォッチ」の設定は、かなり現実に近いと思っていい。

なんでも「妖怪のせい」にはできない

一方、「妖怪ウォッチ」のヒットに伴い、何でも「妖怪のせい」にしてしまう子供も出てきたと、話題になっている。「おもちゃが片付かないのは妖怪のせい」と言われ、どう答えたらよいかと悩む親もいるという。

この姿勢は、しばしば宗教の中でも見られる。目に見えない神様や霊の存在を信じていても、不幸や自分の失敗を全て霊のせいにしてしまう人はいる。

しかし、「霊にとりつかれる」のにも条件がある。それは、もともと本人に、その霊と同じような心があること。とりついた霊は、その思いを増幅させるだけだ。全てを妖怪のせいにする子供の母親は、「妖怪が来るのはあなたのせい」と答えればいい。

妖怪や幽霊といった存在は、古今東西の伝承や物語に登場する。それだけ、目に見えない存在の影響を感じる人が、多かったということだろう。(居)

【関連記事】

Web限定記事 明治の妖怪ウォッチャー・柳田國男が語る「あの世」の世界

http://the-liberty.com/article.php?item_id=8243

2014年9月2日付本欄 脳の錯覚で説明できない金縛り 椎名誠氏は「死後の世界は誰かが見つける」と期待

http://the-liberty.com/article.php?item_id=8371

2013年8月14日付本欄 朝日新聞が首相公邸の幽霊を取り上げる だがその「正体」には触れず

http://the-liberty.com/article.php?item_id=6486