日本中がクリスマスムード一色に包まれていた中、お隣の国・中国では、一風変わったクリスマスを過ごした人がいるようだ。

西安市の西北大学・現代学院は今年から、クリスマスを祝うことを禁止した。学内には「欧米の休日に反対」「西洋の文化をボイコット」と書かれた横断幕が掲げられた。さらには、クリスマスイブにあたる12月24日の夜に学生を全員大学に集め、中国の伝統文化に関する映像を3時間鑑賞させた。この映像を観ない学生は学校から懲罰を受けることになっており、教室の出口には見張りの担当教師がいるため、鑑賞が終わるまで学生は退場できないようになっていたという。26日付産経新聞が報じている。

記事では、湖南省では伝統的な漢服に身を包んだ数十人の大学生が「中国人は外国の祝日を祝う必要はない」という言葉を掲げてデモを行ったことも伝えられている。通常、中国の警察当局が大学生のデモ申請を許可することはほとんどない。そのため今回のデモは当局の指示で行われたデモの可能性もあると指摘されているという。

これらのクリスマスのボイコット運動の背景には、愛国主義を高揚させようとする習近平政権の思惑がある。毛沢東の誕生日である12月26日を「太陽節」という祝日にしようとする動きとも連動しているようだ。

一連の運動に対して、中国のネットユーザーからは賛否両論の声が上がっている。

「学校の要求と制度を遵守すべきだ」という学校側の判断を支持する意見や、中国全土でクリスマス商戦が行われていることを踏まえた「クリスマスは1つの商業的なイベントだ」というコメント、「ほかの学校の学生は街に繰り出して楽しんでいるのに、自分たちはなぜ校内でプロパガンダ映像を見なきゃいけないの」という学生もいる。また、中には「クリスマスを受け入れた日本人は日本の伝統的な文化を捨てていないのに」と日本と比べて自国の状況を嘆いているものもある。

確かに日本は、今日に至るまで様々な宗教を同化・吸収してきた。聖徳太子が日本にインド発祥の仏教を取り入れた話は有名だろう。

歴史上、繁栄している国・都市は国際都市が多かった。現代であれば、ニューヨークやロンドンがそうであり、歴史上の都市であれば、唐の都・長安やローマも代表例として挙げられる。

中国は、アメリカに代わる世界のリーダーを目指している割には、これらの国際都市とは真逆の方向に向かっているようだ。歴史に学んで、中国以外の国の文化や宗教を重んじてはいかがだろうか。(飯)

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