インドネシアの軍事予算は2019年までに200億ドル(約2.4兆円)になると、ジョコ・ウィドド大統領の補佐官、ラフット・パンジャイタン氏が発言しことを、このほど英報道機関ロイターが報じている。

同国の2013年度軍事予算が84億ドルであったことを考えれば、わずか5年後に予算が倍以上になるということだ。ラフット氏は、157の無人島からなるナトゥナ諸島を守るために、インドネシアが軍事力を強化する必要があるとしたが、国防上、よほどの脅威を感じているのだろう。

ナトゥナ諸島は南シナ海の南部に位置し、中国とインドネシアは、同諸島がインドネシア領であることで合意している。しかし、4月にインドネシア軍の高官が、中国は自らの領海と主張している9段線の中に同諸島を入れているのではないか、と懸念を示した。

インドネシア外交は経済的な利害を優先させることを、ジョコ大統領は示唆している。経済発展のために、特に中国投資を呼び込み、自国のインフラ整備に使いたいと考えているのだ。

しかし、そんな親中国であるインドネシアでさえ、最近の中国とベトナム・フィリピンとの衝突を見て、防衛力を高める必要性を感じているようだ。 これは孤立した事例ではなく、東南アジアではすでに軍事競争が始まりかけている。実際、2013年度の東南アジア全体の軍事予算は35.9億ドルであり、2012年度と比べると5%も拡大している。対する中国の軍事予算は145億ドルを超えていた。

経済成長と国防の脅威への対応。この2つを両立させるために各国は、中国と経済関係を深めつつ、軍事力を強化している。剣を片手に持ちつつ握手をしているようなものだ。

日本は、ベトナムやフィリピンと関係を深めているが、インドネシアも見落としてはならない。インドネシアは日本の倍ほどの人口を持ってる上、南シナ海の重要なシーレーン、特にマラッカ海峡にも隣接している。シーレーン防衛が国防上の死活問題である日本にとっては、必ず友好関係を結んでおきたい国である。

インドネシアと、経済的にも安全保障上も親交を深め、中国から引き離す方法を、考えるべきである。(中)

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