衆院選の投開票速報が発表されて大勢が判明し、大方の予想通り、自民党が大勝した。一方、今回の選挙の推定投票率は52%前後(NHKによる22時時点の推定)で、戦後最低の投票率を記録した2012年の衆院選を下回る可能性があるという。今回の衆院選はアベノミクスの成否を問う選挙と言われていたが、今ひとつ盛り上がりに欠けた。

NHKの開票速報によれば与党の議席数が自公で3分の2以上になることが確実の見込みと発表され、与党単独で憲法改正に踏み込める可能性も出てきた。

自民党の安倍晋三首相は自民党本部での記者会見で、「皆様に景気回復を実感してもらいたい」と今後の決意を語った。また、憲法改正については、「憲法改正は自民党の悲願であり、立党以来の目標だ。ただ、憲法改正は衆参両院で3分の2の多数派を形成しないといけない」「国民の理解が重要なので、憲法改正の必要性を訴えていく」と語った。

第二次安倍政権は、特定秘密保護法案の施行や武器輸出三原則の見直し、集団的自衛権行使の限定容認の閣議決定を行うなど、国防強化に努めた。ただ中国や北朝鮮の軍事的脅威を考えると、国防体制はまだ十分であるとは言えず、憲法9条の改正が不可欠だ。

その一方で、今年4月から導入した消費増税8%の影響により、景気は腰折れ。成長戦略に乏しいアベノミクスは今だに活路を見いだせていない。

今回の解散総選挙は、10月に女性閣僚の辞任で高まった自民党に対する批判の声を沈めるのに絶好の機会だった。閣僚を辞任した小渕優子氏、松島みどり氏、ともに当選し、ある意味、「計算された」選挙だったと言えよう。

しかし、国民の目は甘くない。安倍首相は衆議院解散を表明した記者会見で、消費増税10%を先送りしたことについて、「今回のような景気判断による再延期は行わない。これは明確であります」と2017年に税率を10%に上げることを明言した。

しかし、消費増税で経済活動の自由が減り、このままでは景気が回復しないことに多くの国民が気づけば、与党は信頼を失ってしまうだろう。「2017年に消費増税10%」が信任されたと捉えるべきではない。

また、来年は戦後70年を迎える。これを期に、安倍首相は、日本軍による慰安婦の強制連行などを認めた、河野・村山談話を白紙撤回し、日本の誇りを取り戻すべきだ。「自分の国は自分で守る」という強い意志を持ち、国家の発展繁栄につながる政策を実現していってほしい。(冨)

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2015年1月号記事 政治家をギロチンにかける"クリーンな政治"の危うさ - The Liberty Opinion 1

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2014年11月号記事 海外紙が一斉に懸念し始めた 消費増税10%の破壊力 - The Liberty Opinion 2

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