14日に投開票を迎える衆院選への関心が高まっておらず、投票率は過去最低の50%台半ばに落ち込む見通しなどを各紙が報じている。主要な政党のほとんどが消費増税の延期に賛成し、増税延期の是非を問う解散には大義がなく、有権者にとって争点が見えにくいことは確かだ。

しかし今回に限らず、近年、若い人たちの選挙への関心は低い。2012年の衆院選で20代の投票率は約38%。それに対して60代は、ほぼ2倍の約75%だった。しかし、若者が棄権すると、各党は投票に行く高齢者の歓心を買う政策提言に偏ってしまうとの指摘もある。

日本で、20才以上の全員に投票権が与えられたのは1945年からだ。今では多くの日本人が、20才になって1人1票を与えられるのが当然と感じているだろう。空気や水のように、本来なくては生きていけないほど大切なものであっても、当たり前になってしまうと、その価値の大切さを忘れてしまう。

日本では当然のように認められている権利を、命がけで手に入れようとしている人々がいる。

雨傘デモで香港の人々が求めたのは、誰もが立候補でき、1人1票の投票権を与えられる「普通選挙」だ。そのデモの中心は若者だが、彼らは1票の価値を重く受け止めている。この状況を、日本の若者はどう受け止めるのだろうか。

安倍首相は衆議院解散時に、アメリカ独立戦争の「代表なくして課税なし」という発言に言及した。代表である議員を選ぶ行為は、国民の自由を奪う「税金」の仕組みや税率を決める時の代理人を選ぶことでもある。

2012年の衆院選当時、日本の有権者数は約1億人だった。自分が持つ「1億分の1」という投票権を、ほんのわずかなものに感じるかもしれない。しかし、自分がこの先、払い続ける税金の税率を決めたり、将来の日本の防衛体制を決めたりする人を選ぶ方法は、現時点では投票以外にない。

今回の衆院選で言えば、「投票しない」ことは、「このまま消費増税を受け入れる」という意思表示に等しいだろう。投票権は、とても得難いものであり、未来を決める重要なものであることを感じつつ、投票所に足を運んでほしい。(居)

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特設サイト 2014衆院選政策比較

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2014年11月28日付本欄 【衆院選】「入れる党がない」人のための政策比較

http://the-liberty.com/article.php?item_id=8825

2014年12月12日付本欄 期待高まる幸福実現党 社民・生活を上回る 滋賀の選挙区

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