米紙ニューヨーク・タイムズ(NYT)の国際版がこのほど、慰安婦問題で揺れている朝日新聞の元記者・植村隆氏のインタビューを基にした記事を掲載した。

内容は一方的なもので、女性たちが強制的に慰安婦にさせられたという前提で書かれており、植村氏は自分や朝日新聞に向けられる批判について、「われわれをいじめて黙らせようとしている」と発言している。ニューヨーク・タイムズの記事も、安倍政権を中心とする日本の右翼が、1993年の河野談話の見直しを通して慰安婦問題を消し去ろうとする歴史修正論者であると断定している。

また、同記事は一次資料に乏しく、他人が言っていることを事実として報道しているに過ぎない。

記事の中で、日本兵が慰安婦を強制連行した裏づけとして挙げられていることは、元慰安婦だったという女性たちの言葉のみ。それ以上の一次資料は提示していない。朝日新聞は、「慰安婦を強制連行した」という吉田清治氏のウソを鵜呑みにして慰安婦記事を書いていたことについて「誤報でした」と謝罪したが、NYTは一部関係者の証言のみを根拠に報道することの危うさを朝日新聞から学ばなかったようだ。

同記事は全く触れていないが、アメリカ政府が30億円を投じて、日本やドイツの戦争犯罪を軍や政府の一次資料から調査した結果が2007年に公表されている。このレポートによれば、日本による強制連行の事実を見つけることができなかったという。(2007年Interagency Working Group - IWG報告書)

また、1944年のアメリカ諜報部のレポート49にも、慰安婦たちが娼婦であったことを明確に示しており、戦時とは思えないほどの良い扱いを受けていたことが分かる。

このように、多くの一次資料は、慰安婦たちが高級取りの「売春婦」であったことを示している。

興味深いのは、最近韓国の女性団体が、朝鮮戦争やその後の在韓米軍に慰安婦として扱われたとして、アメリカや韓国政府に対して訴訟を起こしていることだ。これに対し、アメリカのメディアは一斉に「彼女達が娼婦であった」という報道を行う一方、日本の慰安婦については依然として性奴隷扱いし続けている。

すなわち、アメリカのメディアは、日本もアメリカも、基地の周りで娼婦を雇い、「慰安所」を設けたことはあるが、アメリカの場合は娼婦で、日本の場合は性奴隷だと主張しているのだ。

韓国の元慰安婦たちがテレビの前で泣いている姿を見れば、ほとんどの人はそこで思考停止してしまう。しかし、日本人の国民性を貶め、その歴史に「原罪」を着せるような問題を、「泣いているから多分真実なんだろう」として片付けるわけにはいかない。また、慰安婦問題は日米の歴史観や戦時の正義、各国の外交関係、そして東アジアの政治情勢にも影響を与え始めている。

日本や欧米のマスコミは、一次資料に立ち戻り、もう一度理性的に問題の真偽を確かめる必要がある。(中)

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