沖縄県知事選が30日告示される。投開票は11月16日。立候補予定者は現職の仲井真弘多知事、翁長雄志・前那覇市長、下地幹郎・前衆院議員、喜納昌吉・元参院議員の4人。知事選であるにもかかわらず日本中の注目が集まるのは、沖縄の米軍普天間基地の辺野古への移設問題が関わるからだ。

優勢と見られる翁長氏は、普天間飛行場の閉鎖撤去及び県内移設断念を訴えている。しかし、沖縄の地政学的な重要性は高く、現実的な判断とは言えない。

中国が一方的に領有権を主張している尖閣諸島と沖縄本島は、距離にしておよそ400キロメートルある。普天間飛行場に配備されている、行動半径600キロメートルのオスプレイなら尖閣諸島まで給油なしで往復しても余裕を残すが、九州から尖閣諸島の間を給油なしで往復することは難しい。現地に到着するまでにかかる時間も考えれば、沖縄本島だけでなく尖閣諸島を守る上でも、米軍基地は必要だ。

仮に米軍が沖縄から去るならば、代わりに自衛隊が相応の装備と行動力を持って駐屯する以外に、沖縄を守ることは難しくなる。

そうしたなかで近年、「沖縄は古来から独立国として中国や日本と対等に接してきた」という琉球独立論が出てきている。もし万が一沖縄が独立してしまえば、米軍も自衛隊も沖縄の防衛から引くことになり、沖縄は丸腰になる。

沖縄は中国大陸から見ると、太平洋へ進出する際の「フタ」のようにも見える。ここに常駐する米軍が去れば、今までよりも自由に中国の艦隊が太平洋に出ていくことができるようになる。中国は沖縄の独立論を歓迎し、実態よりも大げさに報道しているが、その真意は明らかだ。

米軍基地の移設反対を掲げる翁長氏は、琉球独立運動の活動家と関係が深いことも、本誌の取材で判明している(2014年10月号記事。関連記事参照)。下地氏も独立論には肯定的だ。今、米軍基地移設を止め、琉球独立に舵を切れば、日本の国防を危うくする。大きな視野で沖縄県民、日本国民の安全を守れる知事が選ばれることを望みたい。(居)

【関連記事】

2014年9月16日付本欄 スコットランド独立に色めき立つ沖縄の独立活動家 学者や有識者らと意見交換も

http://the-liberty.com/article.php?item_id=8425

2014年10月号記事 現地ルポ・沖縄が「中国領」になる日 - 11月県知事選で命運が決まる

http://the-liberty.com/article.php?item_id=8305