英スコットランドで18日に行われる独立を問う住民投票は、世界中の独立運動を活気づける可能性がある。それは日本とも無縁ではない。沖縄を日本から独立させる「琉球独立論」を唱えるグループは、スコットランドの独立派に学び、琉球独立に向けた世論を盛り上げようとしている。

英ガーディアン紙によると、沖縄で独立を訴える「琉球民族独立総合研究学会」のメンバーらが15日から訪英。スコットランドで独立派や学者、有権者らと意見交換する。沖縄の地元紙「琉球新報」の記者も同行する模様だ。

『琉球独立論』の著者で同学会の設立メンバーである、龍谷大学の松島泰勝教授は日本を発つ際、自身のフェイスブックへの投稿で、「琉球の独立を展望し、スコットランドと琉球を結ぶ様々なネットワークを短い間ですが作りたいです」と意気込みを見せている。

沖縄の独立派がスコットランドに注目する背景には、スコットランドと沖縄の安全保障上の共通点もある。

スコットランドの独立をめぐっては、独立後もイギリスの通貨ポンドを継続して使用できるか否かに注目が集まっている。だがもっとも重要なものは、イギリスの核戦力の配備をめぐる問題だ。イギリスの核戦力は核兵器を搭載した潜水艦のみだが、それらはすべて、スコットランドのグラスゴー郊外にある基地を母港としている。

もし、スコットランドの独立国家として、「核兵器撤廃」を掲げる新しい政府が誕生した場合、イギリスの核戦略は大きなダメージを受けることになる。それは、沖縄独立派の目指す“ゴール"とも重なる。沖縄の独立運動家は、日本からの独立を達成し、米軍を含めたすべての軍事基地を沖縄から撤去することを目指しているからだ。

スコットランド独立運動が沖縄に与える影響について、外交評論家の佐藤優氏は、12日付中日新聞のコラムで次のように述べている。「沖縄ではスコットランドの住民投票に対する関心が強い。(中略)スコットランド情勢が今後、沖縄に無視できない影響を与えることで、日本からの遠心力は一層強まると思う」

スコットランド独立運動に感化されて、今後、沖縄独立論が強まるようになれば、日本の国防はさらに危うくなる。チベットやウイグル自治区を抱える中国だけでなく、日本にとっても動向を注視すべき大きな問題と言える。

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