中国共産党が香港での抗議活動に関する情報統制を、かつてない規模で行っている。

中国の治安当局が、中国本土の知識人らを少なくとも50人以上拘束したことが明らかになった。拘束されたのは、いずれもインターネットで香港市民の活動を支持していた人ばかり。このタイミングで言論統制をした背景には、中国共産党の第18期中央委員会第4回総会の開催を控えていることも挙げられている。15日付産経新聞が報じた。

今回香港で起きたデモは、香港の行政長官を民主的な選挙で選べないことに対する中国共産党への抗議だが、それをそのまま中国国内で伝えるのは、共産党にとって都合が悪いようだ。そのため中国共産党は、「デモは外部勢力に扇動されたもの」と主張している。10日付「人民日報」は、米国が水面下で抗議デモを支援していると批判。これに対し米国務省は12日、関与を完全否定した。

外国メディアへのけん制も始まっている。香港デモを取材していたドイツDie Zeit紙の中国人スタッフが身柄を拘束され、中国当局の許可を得ずに取材をしていたとして、13日、「社会秩序騒乱」容疑で逮捕された。中国外交部は「国民として彼女は公安当局の『取り調べ』に協力するほかない」とコメントしている。

香港の抗議活動に関する中国本土での報道について、中国本土に住む米国人は、本誌に以下のようにコメントを寄せた。

「テレビでは、抗議する人がいた道にゴミが残されていたり、バリケードが撤去される様子や、空っぽになった道などを映して、デモが『終わった』かのように報道しています。また、デモが終わって安堵の表情を浮かべている香港の人々の様子を流し、抗議活動の学生リーダーは二度と政治的な活動をしないと言っているとも報じています。

中国本土に住む人々の意見は、香港と完全に逆です。中国人は、中国が香港にたくさんのお金と支援を提供しているにもかかわらず、民衆は甘やかされて育った子供のような無作法な振る舞いをしていると考えています。中国人の間では、香港での抗議活動は終わったとされているので、今後議論されることはないでしょう」

中国共産党の情報操作により、中国人は香港で起きていることの真実はおろか、事実すら知ることができない状況になってしまっているようだ。

今回の香港デモに対する中国共産党の対応には、情報統制の強化で体制を維持しようとする意図が如実に表れている。裏を返せば、香港で起きていることの真実が自国民に知られることが、それだけ中国共産党にとって都合の悪いことであると言える。

中国がこれほどまでに真実を歪曲して報道するような国であることを、もっと多くの人が知る必要があるだろう。(飯)

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