宮内庁はこのほど、昭和天皇の生涯を記した公式文書「昭和天皇実録」を公開した。太平洋戦争、戦後の復興などの激動期を過ごした昭和天皇の記録であることもあり、9日付各紙が報じた。
読売新聞・朝日新聞はそれぞれ、1面に掲載。両紙とも、「実録には、通説を変えるような新たな発見がない」と評価し、さらなる資料の開示を求めた。こうした中、毎日新聞は1面で、「『富田メモ』を追認」という大きな見出しを立て、「富田メモ」に焦点を当てた。
「富田メモ」とは、日本経済新聞が2006年に報じたもので、当時の宮内庁長官であった富田朝彦氏が、「昭和天皇が靖国神社のA級戦犯合祀に対して不快感を示した」との内容を記したもの。「A級戦犯の合祀により、昭和天皇が靖国神社に参拝しなくなった」との説を、天皇の御言葉で裏付けられたとされ、大々的に報じられた。
しかし、この「富田メモ」は、解釈の仕方がさまざまあり、多くの疑問も寄せられている資料。今回、他紙を含め、当の日本経済新聞でさえメモに関する論評を避けたのは、そうした背景があると思われる。事実、この実録でも、「富田メモや(日本経済新聞のような)報道内容を是認したわけではない」と、わざわざ記述している。
産経新聞も、「合祀がご親拝とりやめの原因なら、その後も春秋例大祭に勅使が派遣され、現在に至っていることや、皇族方が参拝されていた事実を、どう説明するのか」(2013年8月15日付)と指摘し、事実として断定できないとしてきた。
だが、毎日新聞は、「実録は実質的に、『富田メモを認めた』と主張。これは、歴史的事実を踏まえたというよりも、靖国神社の参拝を否定的に報じたい思惑が透けて見えるもので、見出しの立て方などは印象操作の感が否めない。
このように、靖国問題一つとっても、昭和天皇の本心がどこにあったかを知るのは困難極まる作業だ。しかし、大川隆法・幸福の科学総裁は2010年7月、昭和天皇の霊言を収録しており、すでに「本当の実録」が明かされている(『保守の正義とは何か』幸福の科学出版刊)。
この中で、昭和天皇の霊は、靖国問題が政治・外交問題に発展していることについて、「はなはだ遺憾なことである」とし、「『自分の国の国民で、戦死した人たちを慰霊する』ということは、やはり、その民族の誇りでもあるし、義務であると思っております」と語られた。
日本神道のトップである天皇が、神社に参拝することは当然の役割であり、戦死者を祀っている靖国神社であれば、なおのこと。これに反対するということは、天皇の宗教的権威を否定することになりかねない。靖国神社の政治問題化に終止符を打ち、日本の誇りを取り戻すべきだ。(山本慧)
【関連書籍】
幸福の科学出版 『保守の正義とは何か』 大川隆法著
http://www.irhpress.co.jp/products/detail.php?product_id=69
幸福の科学出版 『明治天皇・昭和天皇の霊言 日本国民への憂国のメッセージ』 大川隆法著
http://www.irhpress.co.jp/products/detail.php?product_id=108
【関連記事】
2014年9月号記事 日本とドイツもう謝罪は要らない - 日独は「誇り」を取り戻せ
http://the-liberty.com/article.php?item_id=8170
2014年8月22日付本欄 ヒトラーやルーズベルトにはない昭和天皇の徳 「昭和天皇実録」が完成