静岡県の川勝平太知事が、全国の小中学生を対象に行う「全国学力・学習状況調査」(全国学力テスト)の今年度の結果について、市町別の結果や上位校の校長名を独断で公表したことが波紋を呼んでいる。川勝知事は、昨年も自身の責任で上位校の校長名を発表していた。

全国学力テストの結果は、今年から教育委員会の判断で公表できることになったが、知事には公表の権限がない。今回の川勝知事の対応について、下村博文文部科学相は、「違法、脱法行為だ」と問題視。文科省初等中等教育局の塩崎正晴参事官も「明らかなルール違反だ」と指摘している。

一方、川勝知事は、文科省が全国学力テストの都道府県別の順位を公表していることを挙げ、「都道府県別の結果公表に知事の了承はない。地域の教育格差解消のためには市町別の公表も必要で、文科省は首尾一貫していない」と批判した。

川勝知事の行ったことがルール違反であるのは確かで、手段の妥当性には疑問があろう。ただ、川勝知事が昨年に引き続きテスト結果を公表した背景には、昨年度全国最下位だった小6の国語で、27位まで順位を上げたことがある。知事は「努力した先生の功績は称えなければならない」と、上位校の校長名を発表した背景を話している。

今回の騒動に乗じて、一部から「テスト結果は家庭の経済状況なども影響している」「正答率が低いからといって、教員が努力していないわけではない」との理由で、テスト結果の公開を見直すべきという批判も起こっている。しかし、公立学校の役割は、税金を投じてどんな境遇の人に対しても教育を行い、学力を身につけさせるという点にある。テストの結果公表をやめれば、公立学校が投じた税金に見合う成果を上げているかどうかが曖昧になる。

全国学力テストの結果はいわば、教育を行う側の「成績表」であると言える。教育内容に改善を加え、公教育の成果を高めるためにも、学力テストの結果についてはもう一段の公開を進めるべきである。(晴)

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