中国の習近平国家主席は、資源獲得に向けた動きを止める気配がない。

習氏は21、22日の両日、モンゴルを公式訪問し、首都ウランバートルでエルベグドルジ大統領と会談。エネルギー開発、インフラ整備、金融などの分野で経済協力に合意して、両国の関係を「全面的戦略パートナーシップ」と位置付ける共同声明に署名した。

昨年60億ドルだった両国間の貿易額を、2020年には100億ドルに拡大させることや、通貨スワップ協定の枠を現在の1.5倍にあたる150億元に広げることに合意。また、鉄道の敷設や石炭・ガスなどの鉱山資源の開発での協力を進める。さらに、5年以内にモンゴル軍関係者500人を中国に招待することで、軍事的な協力も進めるという。

その一方で、モンゴルは、周辺国に影響力を強める中国を警戒しているため、会見で習氏は、「モンゴルの領土完全性を尊重する」とした。さらに習氏は、モンゴル紙に、「中国は、お互いを結びつける鉄道や道路の建設、鉱山開発で両国が協力を推し進められることを期待している」と寄稿するなど、モンゴルの経済発展のために全面的に協力する姿勢を強調した。

ただ、内モンゴルやウイグル、チベットなどの周辺地域を侵略してきた中国が、純粋にモンゴルの経済発展を願っているとは思えない。

大川隆法・幸福の科学総裁は、近著『「集団的自衛権」はなぜ必要なのか』の中で、巷で広がる中国崩壊説を「希望的観測」と指摘した上で、こう述べた。「習近平氏の考え方から見れば、毛沢東思想的なものを持っているので、軍事費をかけたわりに、経済的に疲弊してきたら、やはり、ほかの国の資源を取りに行くほうに考え方が向くのではないかと思います」。13億人を超える中国が経済発展を維持するためには、膨大な資源が必要になるからだ。

モンゴルは輸出入額ともに中国が一番多い上に、最近では商品価格の下落や海外からの投資の減少により、中国への経済依存を強めざるを得ない状況にある。しかし、目先の経済発展と引き換えに、国の未来そのものを危うくする可能性が高いと言わざるを得ない。

くしくも先月、エルベグドルジ大統領が訪日した際、日本はモンゴルとの経済連携協定(EPA)を締結している。モンゴルの長期的な発展、真の繁栄を実現するためにも、日本はモンゴルを民主主義陣営に取り込むべく、積極的に働きかけるべきだろう。(飯)

【関連書籍】

幸福の科学出版 『「集団的自衛権」はなぜ必要なのか』 大川隆法著

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