強制収容所の運用や公開処刑など、北朝鮮の人権弾圧の状況は、今日では国際的に知られるようになった。そうした中、今度は北朝鮮自らが「人権報告書」をまとめ、近日中に発表する予定だという。

これは、国営の朝鮮中央通信が、11日付で報じたものだ。同通信社の記事は、北朝鮮の人権問題をねつ造する動きが国際社会に見られると指摘。「共和国(北朝鮮)の人権実態を正確に知らせ、誤った偏見と誤解を正すのはきわめて重要な問題」だとしている。

報告書をまとめるにあたっては、人権の専門家や学者らが協力するとしているが、公正な調査が行われることはなさそうだ。同記事によれば、この報告書は、北朝鮮国民が「自由で幸福な生活を思う存分享受」していることを示す内容だという。朝鮮中央通信は、この報告書の発表によって、「人権擁護の看板の下でわれわれの思想と制度を崩してみようと血眼になって狂奔している米国をはじめ敵対勢力の卑劣な策動を暴露、糾弾することに寄与するであろう」と宣言した。

北朝鮮の生活が素晴らしいと賛美する、アメリカなどに対するプロパガンダであることを、自ら認めているわけである。

北朝鮮の人権問題については、国連の調査委員会が3月、脱北者らの聞き取り調査などをもとに、400ページにわたる報告書を発表している。北朝鮮で、公開処刑や拷問、不当な身柄の拘束、強制労働、性暴力などの「人道に対する罪」が行われていると告発する内容だ。強制収容所に、8万から12万人の政治犯が囚われているという試算も盛り込んだ。

今回の北朝鮮の「人権報告書」の作成は、こうした国連の動きに対する反発と見られる。しかし、これが茶番であることは、論を待たない。北朝鮮で行われている人権弾圧の惨状は、脱北者らの証言などから明らかであり、北朝鮮はこれに対して有効な反論ができていない。また、近年では衛星写真でも、政治収容所が拡大していることが確認されている。

北朝鮮の独裁体制が延命している間に、北朝鮮国民は飢えと迫害に苦しみ、周辺諸国はミサイルで脅されている状況だ。“金王朝"を、いつまでも長らえさせておくこと自体が、なによりの茶番なのかもしれない。

拉致問題の解決に向けて、日本政府は北朝鮮との折衝を進めているが、いずれこの独裁体制を終わらせることこそが、東アジアの平和を築く第一歩であることを忘れてはならない。

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