オセアニア歴訪中の安倍晋三首相は10日、ニュージーランド、オーストラリアに続く最後の訪問国としてパプアニューギニアを訪れ、オニール首相と首脳会談を行った。同国を日本の首相が訪問するのは29年ぶり。

会談で安倍首相は、集団的自衛権の憲法解釈変更について説明し、オニール首相から歓迎を受けた。両首脳は、日本がパプアニューギニアに今後3年間で200億円規模のODA(政府開発援助)供与をすることや、日本と太平洋島嶼国の首脳会議である「太平洋・島サミット」を日本主導で強化することなど、太平洋地域の平和と繁栄のために両国で協力することで一致した。

今回の歴訪について、安倍首相が就任以来続けている「エネルギー外交」の側面があることは間違いない。オーストラリアでは首相自ら鉄鉱石鉱山を視察したほか、パプアニューギニアともLNG(液化天然ガス)の安定供給に向けた協力を確認した。日本向けのLNG輸出は6月から始まっており、年間生産量690万トンのうち、半分が日本向けで、日本の輸入量の約5%を占める。

また、同国は海洋覇権を強める中国が設定する第二列島線(伊豆諸島からグアム、サイパン、パプアニューギニアに至るライン)上に位置する。第一列島線(九州・沖縄から台湾、フィリピン、インドネシアに至るライン)上の国々では、中国による政府庁舎の建設援助が進んでいるため、こうした動きを牽制する意味合いも十分にある。

しかし、注目すべきは、同国が先の戦争において太平洋戦線の南端にあたり、日本兵約15万8千人が戦死した激戦地であったということだ。日本には同国を敵国であったと認識している人も多いが、日本軍は現地の人々に銃を向けたわけではなく、植民地支配を続けようとする連合国軍と戦った。その証拠に、同国の国民感情は概して「親日的」だ。

安倍首相は11日午前、同国北部のウェワクにある「ニューギニア戦没者の碑」で献花し、黙とうをささげた。「ニューギニア戦没者の碑」は、日本政府が1981年9月に建立し、現在まで同国政府に管理を委託している。一方、日本国内では国内外の戦没者遺骨収容を促進する新たな法案の整備が検討されるなど、国を挙げた慰霊活動が活発化している。

日本はASEAN諸国との関係を強化しようとしているが、パプアニューギニアはASEANに関心を持っていながら、「東南アジアではない」という理由から加盟できずにいる。しかし、対中国という観点から見て、日本が"旗振り役"となって積極的に取り込んでいく必要がある。

日本はパプアニューギニアという国を思うとき、遠い南国の地で戦った戦没者への感謝を深めるとともに、アジア・オセアニア地域の「盟主」として中国の脅威から断固守り抜く決意を固める必要がある。(翼)

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