中国商務省が17日に発表した、1~5月の外国直接投資額によると、日本からの直接投資は前年同期比で42%減っている。直接投資とは、企業が他国での子会社設立など、いわゆる「海外進出」をすること。実際に、海外進出を支援するコンサルタント会社には最近、「中国からの撤退」の相談依頼ばかりが来ているという。
その大きな原因は政治不安だ。中国は領土問題や歴史問題をめぐり、日本に対して挑発行為を行い、国内の「反日」世論も煽り立てた。その結果、反日デモ、日本製品の不買運動、現地マスコミの日本企業への妨害行為などが多発している。商船三井の船舶が、戦後賠償訴訟で差押えになったことは記憶に新しい。
このまま両国の緊張が高まれば、中国に進出する日本企業は、いつデモ隊に店を破壊され、訴訟を起こされ、資産を没収されるかわからない。ただでさえ賃金が上がり、司法制度なども未整備な投資環境の中、このリスクは多くの日本企業に撤退を決めさせる、決定的な要因となっている。
中国が自ら招いたものだが、この動きは中国経済にとって、中長期的にダメージとなる。
今まで、中国の経済成長を支えているのは「世界の工場」としての地位だった。特に、多くの日本企業が中国に「輸出で稼がせていた」ことは大きい。また、「安価な労働コスト」を武器にできなくなりつつあるこの国は、自ら産業・技術を持つ先進国経済へと高度化していかなければならない。そのためには、自国に進出している先進国企業から技術やマネジメントなどを学ぶというのが、どの先進国も辿った常道だ。
政治不安の背景にある中国の覇権主義的政策には、軍事的力で資源や土地を獲得することで、13億の国民を食べさせ、経済的な利益を享受する、という意図が含まれている。しかしそれは結果的に、持続的な経済成長の鍵である外国企業を排除しているのだ。
こうした「ちぐはぐ」な行動の背景には、中国が基本的な経済の原則を理解していないことがある。
幸福の科学グループの大川隆法総裁は『自由の革命』(幸福の科学出版)の中で、「貧富の差を解消し、自国民が豊かになるように経済を拡大していこうとするのであれば、やはり、国際的な『平和』が大切です。やはり、その『秩序』、『安定』というものがあってこそ、貿易は成り立つのであって、戦争のなかでは、そういうものは成り立ちません」と指摘。その上で、中国政府の「軍事的拡張」と「経済的拡張」を一緒にする「重商主義」的な考え方は時代遅れだと、喝破している。
他国から富を奪おうとする姿勢は、富が生まれる本当の基盤である平和を犠牲にする。中国は、その思想の過ちに早く気付かなければならない。(光)
【関連書籍】
幸福の科学出版 『自由の革命』 大川隆法著
http://www.irhpress.co.jp/products/detail.php?product_id=1162
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