中国政府は10日、「南京大虐殺」と「従軍慰安婦での人権侵害」に関する資料を、ユネスコの世界記憶遺産に登録するよう申請したことを発表した。

世界記憶遺産とは、国連教育科学文化機関(ユネスコ)が主催する事業。歴史的な資料を保護し、広く公開することを目的としており、「アンネの日記」や「人権宣言」などが登録されている。申請の意図に関し、中国外務省の華春瑩報道官は「歴史を心に刻み、非人道的かつ人権を侵害する犯罪行為が繰り返されることを防ぐ」と述べた。

しかし、その内容の信憑性には疑問を持たざるを得ない。

今回申請された資料には、吉林省公文書館が4月に発表した、関東軍憲兵隊が残したという資料が含まれていると言われている。

公文書館は、資料を調査した結果、「南京攻略前に南京の人口は100万人以上いたが、2カ月半以内に34万人に減少した」と結論付け、これが「南京大虐殺」の決定的な証拠だと主張している。しかし、アメリカ人を中心とする南京安全区国際委員会の調査では、南京攻略前の人口は20万人だった。

また、同資料には日本軍が中国内に、「4か月間で53万2000円かけて慰安所を設立した」という内容がある。しかし当時は、陸軍少尉の月給も数十円の時代。53万円は現在に換算して20億円だ。本当にそれほどの大金が使われたのかは疑わしい。

さらに、これらの資料は日本軍が撤退時に焼却した燃え残りで、1950年代に掘り出されたものということになっている。しかし、ロイター通信など海外メディアからは、なぜ60年以上も公開されなかったのか、といった疑問の声も挙がっている。

これら「怪しい資料」の記憶遺産申請に関し、日本政府の菅義偉官房長官は記者会見で「中国が政治的意図を持って申請したと判断されれば抗議の上、取り下げるよう申し入れる」と述べた。

こうして中国が「日本の残虐性」を世界に認めさせる工作を進めれば、現在進行形で新疆ウイグルやチベットに対し弾圧を続けている自らの罪を隠すこととなり、将来、日本にも触手を伸ばす正当性もつくることになる。

中国は南シナ海における領有権争いなど、軍事的にも拡張の動きを見せているが、「国際世論」工作など様々な分野で覇権拡大への布石を打っている。日本も、集団的自衛権の行使容認や、歴史問題に関する意見の発信を含め、多角的に中国へのけん制を急ぐべきだ。

なお、「南京大虐殺」の根拠のひとつとされるのは、1997年に発刊された『ザ・レイプ・オブ・南京』である。12日、幸福の科学グループの大川隆法総裁は、同書の著書である中国系アメリカ人のアイリス・チャン氏の霊を呼び、真相に迫った。その映像が、13日より、全国の幸福の科学の精舎・支部・拠点で開催される。歴史の真実を知るためにも、是非聞いていただきたい内容だ。(悠/光)

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