政府の経済財政諮問会議の下に設置された有識者会議「選択する未来」委員会は13日、人口急減と高齢化対策に関して「50年後に1億人の人口を維持する」との提言を発表した。(14日付各紙)

日本の人口は現状の出生率を維持した場合、約50年後の2060年には9000万人を切り、8674万人となる。さらに50年後の2110年には現在の人口の約3分の1である4286万人になる見通し。これらの予測を受け、子どもを産み育てる環境の整備や社会保障などを行い、現状1.4である出生率を2.07で維持させる。それによって、2060年になっても1億人の人口を維持するという。

通常、人口は子どもを3人産まなければ増加しないとされている。2人だと現状維持か緩やかな減少につながる。人口減少の対抗策として、前述のように保育園の充実など子育てがしやすい環境づくり、子育て支援費の給付が必要だろう。戦前のように、一定の人数(3人以上)を出産した女性には表彰し、より多くの手当てを出すことも有効かもしれない。しかし、出産は女性の自由意思にもかかわるので、こうした対策はうまく成果を出さないことも考えられる。また、給付に使う財源はどこから捻出すればいいのかも決まっていない。そこで注目されるのが移民だ。

もはや人口の減少は既定路線であり、いきなり増やせと思って増えるものではない。農家や漁師の場合は特に深刻で、農業就業者の平均年齢は65.8歳、漁業に関しても60代以上が主力だ。農業や漁業の担い手がいないことは、日本の食糧自給率にも関わる問題であり、間接的には国の守りにも関わってくる。また、増加し続ける高齢者を世話する介護福祉士の不足も危惧されている。こうした問題を解決するのが移民である。外国人労働者とは違い、永住することで腰を据えて仕事に集中することができる。

もちろん、デメリットも懸念される。日本は単一民族国家であり、肌や瞳の色の違う人種とうまく調和できるのか、治安が悪化するのではないか、日本人の仕事が奪われるのではないかなど、さまざまな理由から移民に反対する人も多い。しかし、きちんとした日本観を持ち、ある程度日本語の話せる外国人を、特定の国に偏らず招くならば、問題の発生を防ぐことができるだろう。

例えば、オランダでは移民に対して、CEFRという語学コミュニケーションのレベルを表す国際標準規格のうちA2レベルを証明することを義務付けている。A2レベルでは「日常生活での身近な事柄について、簡単なやりとりができる」ことが求められている。またドイツでは「社会生活での幅広い話題について自然に会話ができ、明確かつ詳細に自分の意見を表現できる」というB1レベルに達成することが目標だ。どちらの国もそのための語学学習が安く受けられるようなシステムができている。

インドや中国が力を伸ばしているのはその人口によるところが大きい。人口は国家の強さを表す要素でもある。日本が世界のリーダーとなるためには、欧米諸国の移民失敗の経験から学び、移民を推進していくほかないだろう。(悠)

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