スイスの再保険会社スイス・リーが2013年に発表した、「自然災害の脅威にさらされた都市ランキング」で、東京・横浜が世界1位となった。他の日本の主要都市では、大阪・神戸が5位、名古屋が6位だった。

当調査は、世界616都市を対象としたもので、日本の都市が世界的に危険であることを意味している。

調査ではまず、各都市での洪水、地震、嵐、高潮、津波の起きやすさを算出する。そして、各都市の人口密度から人的被害を予想し、経済活動が止まることの損失を算出した。つまり、日本の主要都市は、自然環境的にも地震や津波の可能性が高く、人口密度、住民の経済価値も高い水準にあったということだ。

この結果は、日本の主要都市が、世界で最も「防災インフラ」の必要性が高いことを意味している。言い換えれば、「防災インフラ」の財産価値が最も高い国でもある。

しかし日本ではいまだに、「起きるかどうかわからない災害のために、巨額のインフラ投資をするのは無駄遣い」という誤解が根深い。

例えば、民主党政権は「無駄な公共投資」として、「スーパー堤防」の建設を白紙にした。その後、東日本大震災で堤防の重要さが少し認知され、自民党が東京湾岸の江戸川河口などで同堤防の建設計画を再開させる。それでも現在、立ち退きへの抵抗や、集落の保護を理由に、地域住民から建設中止を求める訴訟などが起きている。

このような、防災インフラの重要性を軽んじる風潮は、計り知れない損害をもたらす。

政府の中央防災会議作業部会は2013年末、マグニチュード7級の地震が首都を襲った場合の被害想定を出している。そこでは、東日本大震災よりも5000人多い2万3000人が犠牲になる、という結果が出ている。「スーパー堤防」建設が議論されている東京湾岸では、津波が無くても満潮時には最大76平方キロメートルが浸水し、ビルの2階まで水につかる場所も出るという。津波が来れば、より多くの地域が浸水し、大きな犠牲が出るだろう。

また、地震などにより「木造住宅密集地域」で火が燃え広がると、多くの人が「逃げ惑い」で犠牲になることも予想されている。これは、住宅の高層化や鉄筋コンクリート化を進め、道路の拡張も必要であることを意味している。日本の都市には、こうした防災上の課題が山ほどある。

巨額の予算を投じることへの抵抗や、個人の地権への主張が強いため、日本では都市計画が進みにくいが、国民の生命・安全・財産を守ることこそ、国家が最優先すべき義務である。日本は、今回の調査で示された危険度相応の防災インフラを、急ぎ整備するべきだ。(光)

【関連書籍】

幸福の科学出版 『震災復興への道』 大川隆法著

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