国内最古の貝器が沖縄の南城市にある2万年から2万3000年前のサキタリ洞遺跡から発掘された。約1万6000年前まで続いたとされる旧石器時代のこれまでの発見では、石器がほとんどであり、今回のような貝器の発見は、国内で初めてのケースという。沖縄タイムスがこのほど報じた。

1967年に沖縄の八重瀬町の港川フイッシャー遺跡から、約1万8000年前の人骨とされる「港川人(みなとがわじん)」が発掘されていたが、生活文化を知りうる遺物の発見は長らくなかった。今回の発見は、その港川人の生活についての解明が進むことが期待されており、考古学的価値が高いものだ。

ここ最近、沖縄では遺物の出土が相次いでいる。昨年11月に、サキタリ洞遺跡から、約8000年前の遺物とみられる「押引文(おしびきもん)土器」の破片が見つかり、縄文時代の早期にも、人が生活していた痕跡があることが判明。石垣市にある白保竿根田原洞穴(しらほそねたばるどうけつ)遺跡からも、港川人の時期にほぼ匹敵する、約2万年前の地層から国内最古の人骨が出土している。

こうした一連の発掘は、旧石器時代の解明を進めると同時に、縄文人の起源の解明にも弾みをつけるものだ。1万6000年前から3000年前までの間、日本全土に存在した縄文人のルーツは諸説あるが、「東南アジアから流入した」という説は有力なものの一つだ。沖縄で発掘された港川人は、これまで掘り出された人骨のなかで、最も縄文人に近いと言われる上に、中国で発掘された「柳江人(りゅうこうじん)」とは相違点がみられるため、東南アジア説起源説を裏付ける証拠とされている。

今回発見されたような貝器は、本土で出土した例はなく、沖縄独自のものか、本土では見つかっていないだけなのかは定かではない。しかし、少なくとも縄文人につながる港川人の研究は、日本人や日本文化の解明に繋がることは間違いない。今後の発掘、研究に期待したい。(慧)

【関連記事】

Web記事 徳島・川島町「聖地」の証明 - 大川隆法・幸福の科学総裁の生誕地で「大日寺」の遺跡発見

http://the-liberty.com/article.php?item_id=5854

2011年7月号記事 『日本の世界遺産』 第3回 琉球王国のグスク及び関連遺跡群(沖縄県)

http://the-liberty.com/article.php?item_id=2040