岡山県警は、全国最悪の少年非行発生件数を受けて、新年度より「学校警察連絡室」を設置し、全国で初めて少年非行対策を名目とした警察官の増員を行うと、山陽新聞(14日付電子版)が報じた。学校の要請を受けた警察は、問題行動を引き起こした生徒に指導を行うことで、非行の防止を目指す。学校と警察の連携を高めることが狙いだ。
記事によると、少年非行対策のほかに、学校周辺の巡回活動にも取り組むとしている。この日の会見で伊原木隆太知事は、「とんでもない行動を取る子供もいる。先生は学校運営ができず、学力低下という悪循環になっている。学校現場に規律を取り戻すため、連絡室の機能は必要だ」と述べ、非行防止対策の意義を強調した。
岡山県の対策の方向性は正しいと言える。本誌でも、2007年3月号記事「『いじめ隠ぺい』が子供を殺す!」をはじめ、再三にわたって教育現場にメスを入れるべきだと訴え、「いじめ防止法の制定」などを提言してきた。一般社会で行えば犯罪レベルのことが、"遊び"と称して学校内で処理される。大津のいじめ事件で明らかになったように、外部のチェックがなければ、学校の隠ぺい体質は改善しない。いじめに限らず、窃盗や暴力なども同様だ。
一方、少年事件の被害を受けた遺族らからの声を受け、政府は7日の閣議決定で、少年法の厳罰化を決めた。ただ、少年の更生機会を奪いかねないとして厳罰化に慎重な意見があることも確かだ。少年犯罪の場合、善悪の判断が未熟なこともあり、人生のあまりにも早い時期に社会から隔離してしまうことには功罪あるだろう。まずは、少年たちが接する最初の「社会」である学校に、正義を取り戻すことが重要だ。少年たちが警察のお世話になる前に、教師が率先して規範意識を高めるように指導していくべきだ。
警察と連携を深めて少年非行を防ぐと同時に、学校側にも、悪の発生を予防する「警察官」的役割もあると認識すべきだ。(慧)
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2007年3月号記事 教室に正義を!(4) 『いじめ処罰法』(原案)─大川隆法案─
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2013年12月11日付本欄 いじめ認知件数が3倍増も、各県で大幅なバラつき いじめの定義を明確にすべき