全国の小・中・高と特別支援学校で2012年度に認知されたいじめ件数が過去最高の約19万件となり、11年度の約3倍となったことが、10日発表された文部科学省の問題行動調査で明らかになった。文科省は、いじめ件数が増えたのではなく、実態把握が進んだための結果との見方を示している。

確かに、学校や教育委員会のいじめ隠しにメスが入っていることが分かる結果だ。しかし、「いじめ」の定義は各県でばらついており、1000人あたりのいじめ件数は最多の鹿児島県が166人、最少の佐賀県が2人と、大幅に差がある。

鹿児島県では、いじめアンケートの内容を、いじめの具体例をチェックさせる形式に変更し、答えやすくした。同県教委は「いじめの早期発見こそ良い学校の証しと考え、児童生徒が軽微な事案でも訴えやすい環境を作っている」と話す(11日付産経新聞)。和歌山県も、「子供が嫌な思いをした場合は、すべていじめに加える」ことを徹底した結果、12年度の認知件数は2379件と、11年度の24倍に増加した。

一方、佐賀県は、アンケートによっていじめの疑いがあるとわかった児童生徒の聴きとり調査をし、複数の教員による調査委員会で、いじめか否かを判断している。しかし、これでは教員の判断如何でいじめの隠蔽が起きてもおかしくない。

大川隆法・幸福の科学総裁は2007年に、「いじめ処罰法」を発表(下記リンク)。そのなかで、いじめの定義として、「児童生徒が、他の児童生徒の暴力・その他の陰湿な行為により、肉体的あるいは精神的に深く傷ついたことを、保護者並びに教員に真剣に訴えた時には、『いじめ』が存在するものとみなす」を挙げている。

「いじめは犯罪であり、悪である」と認識すれば、いじめの定義が必要なのは明らかだ。それをしないで曖昧なままにしようとするのは、善悪を有耶無耶にし、対応しない言い訳につながりかねない。また、現在のいじめ防止対策推進法では、いじめを隠蔽した教員への罰則を定めていないため、いじめの解決に向けて有効に機能するとは言い難い。

今後必要になるのは、教員が善悪の価値基準を持って、早い段階でいじめ加害者を指導し、いじめを実際に解決していくことだ。そのためには、いじめ防止対策推進法も、いじめ解決が学校や教員の評価につながり、いじめを隠せば罰されるよう改正していく必要がある。(晴)

【関連書籍】

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2007年3月号記事 教室に正義を!(4) 『いじめ処罰法』(原案)─大川隆法案─

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2013年10月13日付本欄 「いじめ防止基本方針」策定 教育現場の変革なるか

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