訪韓中の村山富市元首相は12日、韓国国会内での演説で、在任中の1995年に発表した「村山談話」について「安倍首相がどのように話そうが、首相としてその談話を否定することはできない」と話し「ドイツは大統領がポーランドでひざまずいて謝罪し、ドイツ国民全体が戦争を反省することが証明された」と、ドイツの事例を引用して談話の正当性を訴えた。

村山元首相が持ち出したドイツの例は、ブラント西独首相が1970年、ワルシャワにあるユダヤ人犠牲者慰霊塔の前でひざまずき、虐殺について謝罪したというものだ(村山元首相は大統領と言ったが、正しくは西独首相)。一部の韓国メディアは、この事例を好んで用いて、日本も韓国に謝罪せよと繰り返している。しかし、ドイツの例を持ち出して日本を批判するのは、事実を誤認していると言わざるを得ない。

当時、ポーランドから帰国したブラント首相は、テレビ演説のなかで「戦後のドイツ人の旧東部ドイツ領からの追放という不正はいかなる理由があろうとも正当化されることはない」と話し、ポーランドがドイツ人を迫害した責任を追及。ブラント首相は、あくまでナチスによるユダヤ人迫害について謝罪したのであって、ドイツのポーランド侵略については謝罪していない。そして、ドイツとポーランドは今も、第二次大戦の戦後処理の解決に至っておらず、議論は平行線のままだ。

村山元首相や韓国のメディアらが主張する「ドイツを見習え」というのは、一体どこを見習えと言うのか。ブラント首相の言葉は、とても戦争行為を反省しているとは思えない。そもそも南京事件も慰安婦問題もでっち上げだと分かっている以上、日本にナチスのユダヤ人虐殺のような罪はない。また、日本の韓国併合は当時の諸外国も承認した合法的なものであって、ナチスの侵略戦争と結びつけるのは歪曲でしかない。むしろ、日本がドイツから見習うべきは、安全保障の面である。

1月末のミュンヘン安全保障会議で、ガウク独大統領は「ドイツは、ナチスや共産主義の時代があったからといって、(砂の中に頭を突っ込み、目をそらす)ダチョウのように、国際社会に対して負っている義務に背を向けていいということではない」とし、積極的な国際貢献を進めるべきだと述べた。ドイツは11カ国に約5000人を派兵しているが、米軍との協調を考えれば不十分であり、経済力に見合う貢献をすべきだという。

ドイツは日本と同じ敗戦国であるが、ドイツが積極的な安全保障政策を表明しても、韓国はナチスの復活とは言わない。一方、安倍首相が唱える積極的平和主義を、韓国は極右主義だとか、ヒトラーだとか批判しているが、言いがかりに過ぎない。村山元首相の発言は、日本を貶める韓国の世論を後押しするだけであり、売国行為そのものと言える。日本がドイツから見習うべきは謝罪ではなく、国力に応じた国際平和への貢献をしようという意思である。(慧)

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