静岡県教育委員会が来年度、公立小学校に元教員や大学生など370名を配置する。元教員は、担任とは別に生徒の授業を受け持ち、学力の底上げを狙うという。読売新聞(電子版)が5日、報じた。

事の発端は昨年9月にさかのぼる。同年の全国学力テストで、小学校国語Aの成績が最下位であったため、成績不振に危機感を強めた川勝平太静岡県知事の意向により、国語Aの成績の下位100校の校長名を公表する考えを示した。しかし、公表は、下位校の見せしめだと批判され、国語Aの全国平均を越えていた学校の公表に方針を転換。また、公表の背景には、静岡県の国語Aの成績不振だけでなく、総合順位でも2007年の9位から27位に急落していたこともあるだろう。

校長名公表に続き、今度は教師役を増加させることで学力向上を図るということだ。この取り組み自体は評価できるが、人数を増やせば学力が改善されるという甘いものではない。教師の質的向上が伴わなければ、税金の無駄遣いになりかねない。

そもそも、現状でも、日本の小学生1人当たりに約85万円の税金が教育費として支出されている(平成22年度)。中学生となれば、約100万円だ。中学生のクラスが35名であれば、1クラスで3500万円もの税金を教師は預かっていることになる。まずは、教師の指導成果を問われるべきだろう。

また、学校に莫大な税金が投下されているにもかかわらず、通塾する生徒も多い。昨年の全国学力テスト時のアンケート調査によれば、小学生6年生の50%、中学3年生となれば、54%が塾に通っている。

大川隆法・幸福の科学総裁は著書『この国を守り抜け』の中で、「公立系の学校では、校内暴力や非行がまた増えてきており、実際上、倒産状態であります。(教員を増やすことは)いわば、倒産会社が、従業員を増やそうとしているような状況なのです」と、教師の増員は失業対策にはなり得ても、一定の疑問があると釘を刺している。

教師の指導力を向上させ、子供達の学力向上という成果を目に見える形で出せる学校を作っていかなければならない。すでに公立学校は指導力で塾に負け、倒産状態だ。静岡に限らず、日本には公立学校の再建という根本的な改革が必須である。(慧)

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