小6と中3を対象に毎年実施している全国学力テストについて、文部科学省が、来年度から市区町村の教育委員会の判断で、学校別の成績を公表できるよう実施要領を見直す方向で検討に入ることを、21日付読売新聞が報じた。

学力テストは、生徒の学力を測る目的はもちろんだが、市区町村別、学校別、クラス別などの具体的な点数が明らかになるため、「教師の通信簿」としても大きな役割を果たす。今回の解禁が実現すれば、学校間・教師間の切磋琢磨が起こり、生徒の学力向上にもつながる。実現までには様々な横やりが入るかもしれないが、文科省にはぜひ解禁に向けて頑張ってほしい。

記事によると、同省はこれまで、各学校の判断による公表のみ認めてきたが、学校間の過度な競争や序列化を招くとして、市区町村教委が学校別の成績を公表することを禁じてきた。だが近年、公表を望む声が強まってきたため、教委による公表を可能とする方向で検討を進めている。

学力テストの中止や再開の歴史を振り返ると、日本社会の左翼化状況とリンクしていて興味深い。安保闘争など学生運動が盛んだった1960年代に「全員参加」方式が中止となり、「抽出」方式となったが、その後、テストそのものが中止となった。

だが、第一次安倍政権下の2007年に、43年ぶりに「全員参加」方式が復活。教育現場の正常化への期待が膨らんだ。しかし、政権交代が実現した後、民主党政権下の2010年には、全体の約3割の「抽出」方式に変更され、第二次安倍政権誕生後の2013年は、再び「全員参加」方式に戻っている。

今年9月、文科省の中央教育審議会(中教審)の分科会では、教育委員会制度の見直しが検討され、首長が教育行政の最終責任を持つ体制への変更や、首長が選んだ教育長が行政を進めるなどの提案が行われている。

一般市民にとって、ブラックボックスの「教育」が、選挙で選ばれる首長に一定の権限を与えることでオープンになり、外部のチェックが働きやすくなる。また、本来、学校にとって"お客様"である保護者や生徒の意見も反映されやすくなる。

こうした文科省の取り組みは歓迎すべきものだ。

教育行政は学校や教員を怠けさせるのでなく、塾の講師や家庭教師などが当たり前のように行っている、児童・生徒の学力向上という"サービス"の向上に向けて汗を流すべきだ。(格)

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