政府は24日、外国人労働者の受け入れ拡大を検討すべく、閣僚会議を開いた。

現在、東日本大震災の復興など、建設需要の高まりで、とび職や鉄筋工などの技能労働者が不足している。時給を引き上げても、技能者が集まらない状況だ。2020年の東京五輪に向け、関連施設の工事が本格的に始まれば、人手不足がさらに深刻化するという懸念が高まっている。

その対策として検討されているのが、外国人労働者の受け入れ拡大だ。なかでも、企業が最長3年間外国人を受け入れる「技能実習制度」の改革が考えられている。受け入れ期間や人数を拡大するほか、実習を終えた外国人も再入国できるようにする。政府はこうした政策を3月までにまとめ、2015年春から実施するという。

人手不足は、建築業界に限ったことではなく、少子高齢化の進む日本経済最大の問題の一つだ。産業の空洞化や、農業の人手不足を解決していくにも、外国人労働者の参加は有望な策だ。また、日本はゆくゆく、移民受け入れという選択肢も検討せざるをえなくなる。経営学者のドラッカーも、著書『ドラッカーの遺言』のなかで、「移民を受け入れて労働市場を活性化しない限り、日本の経済はもはや成り立たなくなるはずです」と述べている。

今回の外国人労働者受け入れ拡大は、建築業界の短期的な人手不足を埋める、"やむをえない"措置だ。しかしこれは、将来的に東京や日本を国際化させていく布石を打つ、格好の機会でもある。この機を逃さないためには、行政や企業設計の見直しを始める必要がある。

たとえば、外国人が日本で働く際の最大のネックは、言葉の壁だ。公立学校を夜間は日本語学習の場として活かすなど、外国人が日本語を学習しやすくしたり、主要都市は英語の表記を普及させ、英語を準公用語にすることなども考えられる。

また、外国人労働者を徐々に増やし、様々な問題に対処するなかで、法律の整備や、企業が外国人を雇う際のルールやノウハウの確立なども進めていくべきだろう。

五輪開催のメリットは、祭典開催に伴う短期的な投資の増加や、景気向上だけではない。五輪をきっかけとして、制度改革やインフラ整備を進め、長期的な経済発展につなげていくことこそ重要だ。政府は、五輪によって発生するあらゆる機会や問題を、日本経済発展のために利用しつくす必要がある。日本が世界に門戸を開き、新たな発展軌道に乗る機会は今である。(光)

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