「資本主義というものは、もともと、基本的にはインフレ路線でなければ成功しないことになっているのです。それがわからないことによって、不況が起きています」

(『理想国家日本の条件』大川隆法著 1994年刊)

いわゆる「バブル崩壊後」、インフレを恐れた日銀は、貨幣供給量を絞り続け、20年不況を招いてきた。適度なインフレをつくり出す「金融緩和」は、ようやく必要性が理解され、アベノミクスの一環として実行された。

遅きに失したとはいえ、この政策は一定の成功を収めつつある。2013年末時点で、日経平均株価は一年間で57%も上昇した。2013年の取引を締めくくる東京証券取引所の「大納会」で挨拶した安倍首相は、「来年もアベノミクスは買いです」と自信を見せた。

しかし、2014年実施予定の財政政策に関する、政府の決定は、あまりにも「ちぐはぐ」だった。

政権発足時から始めた金融緩和や財政出動は、景気を上向かせた(拡張)。政府はこれを見て、10月に消費税増税を決めた(緊縮)。その増税による不況を防ぐため、5兆円の補正予算を組み、95.8兆円という過去最高の予算案を決めた(拡張)。それに対し、財務省中心に「財政再建が遠のく」と批判が出ている(緊縮)。

これはバランスを取っていたのではない。「経済成長」か「財政再建」かの優先順位が定まらず、迷走していた。2014年は、この定見の無さが表面化し、アベノミクスにとっての試練となるだろう。

中でも消費増税は主要な出来事となる。

「私は、基本的に、今の日本の問題は、『消費が落ち込んでいること』だと思うのです。消費を落ち込ませるような政策だけは採ってはいけないと思いますね」

(ドラッカーの霊言 2010年6月 参照:『ザ・ネクスト・フロンティア』)

「(消費増税が決まって)これから、従業員のリストラ、コストカット、賃金カット、それから、下請けいじめ、中小企業の倒産が始まって、失業者がたくさん溢れ、さらに消費が落ち込んでいって、不況になっていくやろうね」

(松下幸之助の霊言 2012年8月 参照:『松下幸之助の未来経済リーディング』)

各霊人が予言するように、日本経済の「弱点」である、消費が冷え込むダメージは大きい。政府や財務省の目測は裏切られ、金融政策や財政出動の効果も限定的だろう。そして、税金を払えなくなる企業や個人が増え、税収が減る可能性さえある。

1997年に橋本政権が消費税率を3%から5%に引き上げた結果、消費は落ち込み景気は悪化。不況の影響でトータルの税収は逆に減ってしまった。しかし、アジア通貨危機などとバッティングし、その因果関係はうやむやになった。しかし、今回は増税が「失策」であることが明らかになり、日本経済に「失望」が走ることが予想される。

その時こそが、日本経済の繁栄と衰退を分ける、分岐点となる。

「増税しながら成長できる」「増税しないと財政再建できない」という「考え方」こそ、日本経済のボトルネックになってきた。増税の引き起こす苦しみは、そのことに気付くチャンスだ。好景気、経済成長こそ税収を増やすために必要である――。もしここで、政府や国民がそう方向転換することができれば、2014年こそ日本経済の本格的な復活の始まりとなるだろう。

その時は、新たな考え方の基に、国家のグランドデザインを大きく描く必要がある。リニア新幹線の敷設をはじめとした交通革命や都市の大改造を行い、新たな産業や企業家を育て、GDP世界第2位を奪還し、第1位を目指すべきだ。幸い、愛国心と一体感が生まれ、国民は繁栄を望んでいる。五輪という舞台もあり、金融緩和という武器もある。その経済成長の結果として、財政も潤っていく。

2014年末に、安倍首相は「消費税増税を10%まで上げるか否か」の決断を迫られる。そのときには、政府、国民とも「財政重視」の考えを捨て、「経済成長」をはっきりと志向していることを期待したい。(光)

【関連書籍】

幸福の科学出版 『忍耐の法』 大川隆法著

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幸福の科学出版 『ザ・ネクスト・フロンティア 公開霊言 ドラッカー&アダム・スミス』 大川隆法著

https://www.irhpress.co.jp/products/detail.php?product_id=65

幸福の科学出版 『松下幸之助の未来経済リーディング』 大川隆法著

http://www.irhpress.co.jp/products/detail.php?product_id=797

幸福の科学出版 『理想国家日本の条件 宗教立国のすすめ』 大川隆法著

https://www.irhpress.co.jp/products/detail.php?product_id=177

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