朝日新聞が25日付のオピニオン欄に、作家の星野智幸氏の寄稿「『宗教国家』日本」を掲載した。中国や韓国を批判する人たちや、愛国心を持つ人たちが増えている現状を、「ナショナリズム信仰」として否定的に論じているが、その指摘は的外れなものに終わっている。

寄稿で筆者は、数十年ぶりに旧友たちと再会した際、若い頃に政治に関心がなかった人たちが、中国や韓国への批判や国防強化の必要性、特攻隊や戦没者への感謝を口にすることに、違和感を覚えたと指摘。しかもそれが、筆者の若い頃の学生運動のセクトやカルト宗教の勧誘に似ていると言い、「価値観を共有しない他者(中国や韓国)を軽蔑し、自分たち(日本人)を優越視」していると批判する。

しかし、この批判は的はずれだ。中国が尖閣諸島周辺への領海・領空侵犯を繰り返し、軍事費を20年以上連続で2ケタ増させるなど軍拡を進め、近隣諸国を威嚇している事実がある。国防の強化が急務なのは、当然のことだ。韓国も、戦後にでっち上げた従軍慰安婦問題を利用して、国家を挙げて反日キャンペーンを展開している。これに対して、異を唱えない日本人の方が、どうかしているのではないか。

もちろん、一部で行われているヘイトスピーチの中に、行き過ぎた面があるのは確かだ。しかし、北朝鮮のミサイルによる脅威も含め、日本が近隣国の誤りを指摘し、国防強化を進め、自虐史観から抜け出して英霊に哀悼の誠を捧げることは、何もおかしなことではない。

また、寄稿の中では、「日本人である」というアイデンティティーを持ち、愛国心を持って一致団結する様子を「『日本人』信仰」として、次のように批判する。「信仰と洗脳がもたらす安心に浸っていたいのだ。それがたんなる依存症の中毒状態であることは、言うまでもない」。

だが、この指摘も単なる感情論に過ぎない。「愛国心」とは、学問的にも古代ギリシャで民主主義が栄えた時に同時に発生したものと言われており、どの国の国民も当たり前に持つものである。

むしろ、武力で脅したり、金をゆすったり、人を拉致するヤクザのような国家がすぐ近くにあるにもかかわらず、何も反論してこなかったこれまでの日本が異常だったと言える。日本人の変化は、戦後の自虐史観の誤りに気づき、愛国心を持つ「普通の国」に近づいていることと受け止めるべきだろう。(晴)

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