在日中国大使館が25日までに、日本に滞在している中国人に対して、緊急事態に備えて連絡先を登録するよう通知した。

在日中国大使館によると、通知は「重大な緊急事態が発生した際に在日中国人に対する協力や救助を速やかに実施するため」のものと説明する。また、中国外務省の秦剛(しん・ごう)報道局長は、「登録は在外中国人保護の一環として世界各国で進めている」と、日本に対して過剰な反応を慎むよう発言している。

通知は8日付だが、在日中国大使館のホームページに掲載されたのは24日。この前日には、中国国防省が日本の尖閣諸島を含む東シナ海に防空識別圏を設定した。中国は防空識別圏の設定の狙いは尖閣諸島の主権を強めることと認めており、これは、日本の主権が脅かされることを意味する。この発表により中国は、「日本と一戦を交えることも辞さない」という強硬な姿勢を示したとも言える。日本の防衛がいよいよ危うくなってきた。

今回の中国大使館の通知の内容は、中国で2010年から施行されている「国防動員法」を想起させる。

国防動員法は、中国の主権・統一・領土の完全性・安全が脅かされた時に、国家主席が全国人民代表大会常務委員会の決定に基づいて動員令を公布すると定めたもの。動員工作は国務院・中央軍事委員会が指導し、有事の際には交通・金融・マスコミ・医療機関などは政府・軍が管理する。さらには、18歳~60歳の男性、18歳~55歳の女性が無条件で動員される。これは、中国国外に住む中国人も対象になる。

国防動員法では、国防動員の方針を「平時と戦時の結合」「軍需と民需との結合」と明記していることから、中国が戦時体制に再び入ることを強く意識していることが分かる。

中国大使館の通知と国防動員法の関係は公表されてはいないものの、習近平国家主席が強兵路線を掲げており、また、主席就任から約1年が経つことを踏まえれば、中国が戦闘態勢に本格的に突入しようとしていると考えても不自然ではないだろう。

日本もそろそろ、「どうやって国を守るか」を真剣に考え、行動に移さなければならない。(飯)

【関連記事】

2013年12月号記事 2020年「盟主」日本がアジアを守る――中国封じ込めの国防戦略

http://the-liberty.com/article.php?item_id=6819

2013年11月24日付本欄 中国のデタラメ防空識別圏 日本政府は強気の言論を挑め

http://the-liberty.com/article.php?item_id=6997